清掃で第六感を鍛える

著者: エイム研究所 矢野 弘

雑音を清掃して集中して聴いてみよう

きれいにしてみるのは汚れだけではありません。調子の良い機械は音もなめらかでリズミカルです。衝撃音や油の切れたキリキリなどしません。しかし、雑音のなかでは設備の調子や加工の異常は分かりません。聴診器を当てたり、他の機械を止めて音の清掃をして異常音を聴いてみましょう。するとモーターの回転に応じて叩く音が出ていたりすると、なにか異物でも挟んで当たっているかもしれない。
設備の音が導入したときよりうるさいと、音の汚れ=故障につながるのです。分解清掃して音の発生源にたどり着いてみましょう。そこには助けを求めて悲鳴をあげた機構部分がいます。

 

不良が出ていないからといって目先の生産性を重視したり、ときどき不良が出たり、チョコ停しても歩留り生産をして過労稼働させていませんか。清掃保全をしていないと悲鳴をあげている部分が他を巻き込んで大故障や大事故につながります。
健康管理といっしょで毎日のチェックと早期発見が大切でガンでもなると長期入院か墓場行きになります。

 

清掃を保全の仕事として標準化する

床が油で汚れていたり、切断した材料が飛散していたりしていると、足元が危険になる。すると製品をつくること以外にも神経をつかい事故や不良を発生させてしまう。清掃作業を、どこから飛散してくるのか、なぜ飛散するのかの原因を調べる活動として行い、清掃を「個人の奉仕」ではなく「保全の業務」として与え教育することが経営者の勤めです。

 

全ての保全内容を文章に表したり、図に表せることはできません。さらに言葉で全てを表現するのも不可能です。なんとも言い表せないことでも毎日大切に設備や道具を扱っていると、「なんとなくおかしい」と気がつくものです。その勘の8割りは当たっています。もしかして体の一部になっているのでしょう。

 

清掃の頻度

・一作業一清掃が原則です。作業の終わり際や作業中に清掃をいれる。
・清掃を終業時に毎日定期的に行う
・データを取って不良や磨耗で故障につながる数量を見つけ、定量清掃する
・大々的な分解清掃(保全)は時間がかかるため、できるだけ日々や月々に分ける
・日々や各週の清掃はオペレータが行う。月々は保全の専門家を育てて行う

 

きれいにすると心の目で見ることができる。澄んだ気持ちは澄んだ目を持つ事ができる。だからいつもと異なる異常が発見できる。

 

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