若いうちに反面教師を持て (1/2)

著者: エイム研究所 矢野 弘

今年、入社した人はもうすぐ1年が来ます。職場にはいろいろな形で教えてくれる人、学べる人ができたと思います。今は、入社後に即戦力として活躍してもらいたいため、マニュアルをつくり丁寧に教える教育方法をとっている会社がほとんどです。
 さらに、「目標を持ってチャレンジしよう!」と啓蒙する前向きな研修もあると思います。

 

● ある新人の試み

 人物目標を持って、まねてみようと試みました。映画や教科書にもよく出る歴史上の偉大な人物を、とりあえず選びました。徳川家康や坂本龍馬など、「こんな人になりたい」と思って歴史書を買って読んでみました。仕事に応用できないかなと思いながら読んでいるうちに、内容はワクワクするのですが、まねると、いったいどのようになるのだろうかと疑問が出てきました。

 昔は市場を奪う手段は戦争でした。相手の生命を奪ってシェアを広げる方法が取れました。しかし、今はライバル会社に攻め入って、社長や社員の命を奪い相手の会社をつぶすなんていう手段は取れません。また、坂本龍馬みたいに戦争の武器を売って儲けたり、いつ殺されるか分からないことをした場合、ピストルや刀を持っての自衛などできません。実際に命をかけた時代では、頑張る度合いは今とは比べものにならないのだなと思いました。

 

まねるといっても、取れる手段が異なるために結果は当然、異なる気がします。本人でもないし、時代も異なるため、いくら頑張ってもまねられない部分がありました。

 歴史上の人物をまねるのはやめました。いま生きている人をまねることにしました。マスコミで人気の大成した経済界の人や評論家のセミナーを聞きに行きました。話も上手で考え方や日常の行動に、すごくあこがれてしまいました。

 その人の本も数冊か買って読みあさり、「よし! 俺もやってみよう」と意気込んで、まねてみました。すると周りから「今、はやりのあの人みたい」と言われたり、「頑張ってね」と励まされました。ですがやってみると、自分の個性とまったく合わない部分があり、ノイローゼになりそうでした。結局、三日坊主で終わってしまいました。その人の独特の部分は、まね続けることはできないなと、学びました。

 

< ホジティブな部分をボジティブにまねると個性が壊れる >

● もっと身近な人物を見てみました

 身近な人物に父親がいました。私と父との関係は世間一般と同じでギクシャクしています。父はアドバイスのつもりでも、私には説教に聞こえます。頑張ったのに「もっとガンバレ!」と言われ、聞く気がわきません。「そのうち分かる」が、父の締めの言葉です。なりたくない代表です。

反面教師

職場の上司を見てみました。いつも小さなミスでも上司に呼ばれて、上司の気が済むまで説教が長く続きます。書類作成では、文章も一字一句指摘され、ホチキスの止め方や穴の開け方まで、こと細かく時間がある限り指摘されます。

 文章の悪いところも性格が原因だとされ、性格まで直せと言われる始末です。当然のことながら嫌いになりました。何度も怒られている姿を同僚から見られていると思うと、引きこもりたくもなります。やがて、「こんな上司みたいになりたくない」と思うようになりました。

 父も含めて、これが反面教師というものでしょうか。自分が上司になったら、「ポジティブな言い方で部下の個性を伸ばし指導する。そうすれば、もっと会社は良くなる」。「私はみんなを元気づける上司になる」と心に決めました。

つづく

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