ユニホームの着こなし(6/6)

著者: エイム研究所 矢野 弘

スポーツから学ぶ事故の防止

プロスポーツ選手やアスリートは体が資本です、その資本が、けがなどで故障すると終わりです。そのため、ささいなけがでも起きないように本人も指導者も教育を受けています。私自身スポーツの指導者で指導員としての資格も取っています。さらに衛生工学衛生
管理者の免許も持っています。企業の社員の身の安全の確保にも役立ちますので紹介します。

 企業では危険な行為そのものを無くそうとして、改善をするときにKYTなどをして事故の原因を4M(人、設備、材料、方法)で解析し、排除しようとします。しかしスポーツではクロスプレーや故意のぶつかり、ひいてはバット、ヤリやハンマーなど危険な道具そのものを使って競技します。ボクシングなどは相手にダメージを与える行為そのものなので、何ともし難い競技です。さらにアスリートは極限まで訓練して心身状態をピークにして競技に挑みます。

 そのため事故やけがに対しての原因解析方法が企業とは少し異なります。

見方は、「服装」「行動」「心身状態」「環境」です。

4つの原因

メガネを掛けたままサッカーでヘディングをしてけがをした事例です。
・服装としてはメガネを掛けていた。
・行動はヘディング。
・心身状態では大丈夫だと思った。
この3つが重なって事故を起こし、けがをしたことになります。

 もし服装のメガネを掛けていなければけがをしませんし、もしくは行動のヘディングをしなければけがをしません。競技なのでメガネを掛けている人はヘディング禁止などとしたルールにするわけにもいけません。するなと言ってもヘディングはしてしまいます。

例

改善としては、服装の禁止で考え、メガネではなくコンタクトレンズかゴーグルにすることにします。スポーツの世界では危険行為をしても、けがをしないようにするにはどうするかの工夫が必要となっています。

 企業では危険行為そのものを止めるようにするでしょう。しかし、現場の人で責任感の強い人は、つい危険行為をしてしまいます。してしまうとルール違反をしたので自己責任となり、ルールの方を優先する、一種の責任逃れになります。これでは社員を守ることは
できません。ルールそのものをますます厳しくして違反者を増加させるしくみにしてはいけません。

事故原因1事故原因2事故原因3事故原因4

〔参考文献〕公益財団法人 日本体育協会発行
公認スポーツ指導者要請テキスト(スポーツと安全)

 

 

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