物づくりの小話し、あれこれ 81~85

物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様) 81~85

81.きゅうすと雲とはだか馬

 上にたつ人の、戒める行動として、ひきあいに出される言葉である。
雲となって、せっかくの光をさえぎるな。風となって雲をふき飛ばせ。
横から、きゅうすのように、「口を出すな」、始めにしっかり指示しておこう。
部下と競うな。はじめから勝負はついている。相手(部下)は負担重量をかせられている競争馬
のようなもので、はだか馬の上司は勝ってあたりまえなのである。
 それを承知であえて、勝負しようとするのは、よほど弱い馬といえる。

82.ネックは収容数と段替え

 JITに近かづけるためには、大ロットから小ロット、小ロットから1個流しへ工程の流れ化
をはかることである。
それが解っているのに、なぜ、かためて造るのだろうか?
 段替えが多いと、稼動率が落ちる。既に使っている大きな収容数を替えるとなると、小さな容
器を購入することになりかねない。
また一度に沢山造り、一度に運んだほうが徳だ。そう、思っているのである。
  小トロットもしくは1個流しの敵は大きな収容数と時間のかかる段替えである。
この2つのことを見極めた生産準備が、JITの成否を決める。

83.より確かな結果

 いろいろな職場をまわっていると、書いたものは、信用できないという、かなしい現実を見て
しまうことがある。
在庫30%減といっても、完成品なのか? 仕掛け品なのか? 対象工程の部品なのか? 全製
品なのか?
 良いとこ取りされると、とんでもない評価となってしまう。
たしかな評価は、次のような例である。
 ①在庫30%減というなら、それに相当する空パレット・空箱が余ってくること。
 ②塗装工程のリードタイム短縮10%というなら、それ相当分の空台車がラインからハズレ、
  凍結されていること。
 ③品質不良が半減したというなら、手直し場の区画が1/2のスペースとなり、作業者が半数
  になっていること。
このような、直接的な評価の方が、ず~と現実味を帯びてくる。そんな改善が良い。

84.ありたい姿とのギャップ

 現実とありたい姿のギャップが問題点である。
ものを1台(1ケ)生産する時間、作業を与える時間、のタクトタイム(T・T)について考え
ると、T・T≠実行タクト、T・T≠CTの関係にあり、
T・T=実行タクト、T・T=CTになるように、改善活動をしている。これが、T・Tへの挑
戦であり、1人工の追求である。
 いま、T・T<CTの関係にあるとすると
 ①遅れ分、1人増やす
 ②遅れ分、の作業または製品を他に移す
    ③遅れ分、その都度リリーフ
 ④遅れ分、に合わせて造る→実行タクト
 ⑤遅れ分、正味短縮
の手段が考えられるが、まず⑤を優先して改善することは言うまでもない。
他は⑤の改善を進める期間中の補助的手段である。

85.駅までの歩行時間

 駅まで歩くと、10分の道のりである。
毎日のことなので、電車の発車時刻はわかっている。
家をでるのが、数分遅れると、早足となって8分でホームに到着する。
もう少し遅れると、小走りになって6分で到着する。
ところが、家を早くでてしまうと、ホームに着いても電車を待つことがわかっているので、ブラ
リ、ブラリと歩いて13分もかかってしまう。
  10分が標準作業であり、6~8分は異常時のとりもどしの時の動きである。
13分は1人工を与えきれていない時の動きである。

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