物づくりの小話し、あれこれ  99話 大和の西瓜

物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)

99.大和の西瓜

 現在の縞模様の甘い西爪は、品種改良された大和(奈良)西爪がそのルーツである。
それを裏付けるものとして、今でも西瓜の種のシェア80%は大和産である。
昔は、縞模様のない西爪も沢山あった。なぜ大和の西爪が全国に出回ったのであろうか?
 話は富山へ飛ぶか“越中富山の薬売り”の話はほとんどの人が知っている。
この「置き薬」の商売は富山だけのものでなく、大和(奈良)も結構手広くやっていた。
その“おまけ”に紙風船、塗り箸、おちょこなどを置いていくのが常となっていた。
大和(奈良)の置き薬の行商の人は、その“おまけ”に「西瓜の種」を加えた。
行商は全国に及んでいたので、その種が普及し、大和西爪を全国区の産物にしたのである。
 この話を聞いて、やはり物事を、「普及させるとか」「徹底させるとか」「教育するとか」とい
うのは、足でこつこつ積み上げていくこと、継続させること、が大事だと思った。
「昨年いただいた種で、できた西瓜です、めしあがって下さい」といわれて、いただいた西瓜の味
は、今でも忘れないと廃業した行商の人が語っていた。
 改善マンの教育もこんな部分があって、数年前教えた人が、大きく成長していることに出くわす
と、とてもうれしくなってくるものである。

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