2021年1月
物づくりの小話し、あれこれ 104話 心に残った句
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)
104.心に残った句
「自然はもの言わぬ教師である。
よく見、よく聞き、よく考え、自分で学びとる。」
よい句だ。
改善の標語にも使える。
「自然」のところを「現場」に置き換えると良い。
その句は続く
つらい思いをして一人前
なさけない思いをして一人前と……。
物づくりの小話し、あれこれ 103話 お米の洗い方(研ぎ方)でご飯がかわる
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)
103.お米の洗い方(研ぎ方)でご飯がかわる
薪でご飯を炊いていた頃、「はじめチョロチョロ、中パッパ、赤子泣いても蓋とるな」がうま
く炊く極意であったと聞く。
しかし、昨今の炊飯器は圧力釜であるし、火の加減だってマイコンでコントロールされ、上記の
極意は十分に織りこまれている。
ところが、こんな実験があった。
マンションの20家族に、同じ産地・銘柄の米と、これもまた同じ炊飯器を使い、同じ量のお
米でご飯を炊いてもらったのである。
ねばり、つや、うま味、甘味などを評価する、味度計というのがあって、科学的に評価すると、
平均で60点、低い方で50点、高い方で73点。5点の差で味が判るといわれており、その差
は非常に大きい。なぜだろうか?
そのまえに、おいしいご飯ができるプロセスを説明しておく必要がある。
炊飯の過程で、米に「ひぴ」が入る。水を吸収して米が膨張すると、その「ひぴ」からでんぷん
が溶けだして、全体にまとわりついて、膜を造っていく。そのでんぷん糸が広がり、最後には網
目になって、それがおいしいご飯のもとである。
しかし洗う前のお米の表面には、不純物がいっぱいある。タンパク質もその一つで、これらを
しっかり洗い落として、でんぷん糸の流れをスムーズにする「お米の洗い方」が必要である。
お釜に水を一杯入れ、その中で手でかきまわしている人。少し水は少ないけれど白い米かすだけ
を繰り返し洗っている人、時には、手ではなく、泡立て器を使っている人もいる。
こんな洗い方では駄目で、水を極力捨てて、少し残った水で、30回前後、米と米とが擦りあ
うような感覚で、腰を入れて研ぐのである。
そう「お米を洗う」のでは「お米を研ぐ」とよいご飯がいただける。
この研ぎ方を知ったひとは、お米を1~2ランク下げて家計を救けることもできる。
小話しも、時には役立つことだってある。
①お米の銘柄と②炊飯器で決まる、それに③研ぎ方が加わる。
①②で決まってしまうという思い込みが生産の場でもある。要因は多岐に及ぷ。
だから改善も際限りないのである。