2021年6月
物づくりの小話し、あれこれ 第113 本当に全部やれるのか?
物づくりの小話し、あれこれ 第113
113.本当に全部やれるのか?
“かんばん方式は、やれることをやるだけでなく、やるべきことを、「まず、やってみる」という
雰囲気をつくり、現地・現物で粘り強く改善していくことである”言ってみれば簡単だが、
やるべきこと(あるべき姿)が明確に描けないということもあるだろうし、そこに到達するまでに
は、様々な制約条件が横たわっているものである。
この制約条件は、無くせるものか? 無くせないものか? あるいは、替えられる条件か?など
整理していくことが必要である。
「あるべき姿」だけ追い求めても、実力が伴なわず、挫折してしまうこともある。
「本当に全部やれるのか」の反問も忘れてはならない。
制約条件排除の“こだわり”を持ちながらも、今回は「この姿までもっていこう」というような柔
軟な対応も大切である。
そこまで、辿りつくと、二ーズがより鮮明となり、その先が見えて、あるべき姿に大接近できる。
物づくりの小話し、あれこれ 第112 計画の良し悪しとリードタイム
物づくりの小話し、あれこれ 第112.計画の良し悪しとリードタイム
生産のリードタイムを定義すると、次のようになる。
“素材を使い始めた時から、完成品になるまでの時間”をいう。
例えば、プレスでいうと、
“コイル材を切り始めた時からプレスが終わった時間まで”をいう。
仮に1個流しで、1枚の切断が2秒、プレスヘ運んですぐ加工すれば10秒というなら、リードタ
イムは12秒である。
それが、切断材を置場に一旦置いて、ロット生産、ロット運搬、で1直分のリードタイムだとす
ると、加工とリードタイムの比率は、1:2400となる。
3日分の在庫を持っていたとすると、1:14400となる。
この関係を式で表わすと、
リードタイム = 加工 + 停滞(在庫)
在 庫 =※マネジメント + 運搬ロット + 生産ロット
となる。上式の※マネジメントとは、後補充生産か? 計画生産か? 平準化がなされているか?
など、計画の良し悪しをいう。
JITはリードタイムを短縮することであるので、やるべきことはこの式から明確である。
物づくりの小話し、あれこれ 第111 機械の前の未練
物づくりの小話し、あれこれ 第111 機械の前の未練
仕入先の機械加工工程の改善での話しである。
改善前は、作業者の帽子の位置が高くなったり、低くなったり、右手を使ったり、左手を使ったり、
またマシン能力がなく機械の前で手待ちがあったりして、1サイクルのバラツキも大きく、まった
く「流れ」がなかった。
多くの提案と職場の熱意で、
M/T能カアップ、設備のチョコ停対策、ワークの自動セット、はね出し、払いスイッチの位置、
それに動作改善、訓練、等を繰り返し、見違えるようになった。着々と作業が行なわれている。
しかし、よくよく観察すると
1つの機械の前で、「未練」を残したような、手ばなれが悪い動きが見えた。
ほんの一瞬の動きである。
いままでの様な、ギクシャクした動きでは、とても見つけられないレベルの動きである。
作業者に聞いてみた。「ここを離れるとき、何か気になること(未練)ある?」
「時々ですが、ワークのセット不良があります」と返事がかえってきた。
とても嬉しくなった。熟知していない者でも、問題点を見つけられる工程になっていたのである。
そんな素晴らしい職場であったので、即、対策したのは言うまでもない。
物づくりの小話し、あれこれ 第110 標準作業の3要素
物づくりの小話し、あれこれ
110.標準作業の3要素
標準作業の話しがでたので、標準作業の3要素についてまとめておく。
①作業順序
・効率的な作業順序
・毎回、同じ作業順序、手順、動作で、繰り返し行われる作業
②タクトタイム
・必要数が基準
・ムダのない正味作業が、タクトタイムに過不足なく、納まっていること。
③標準手持
・手待ちのない、繰り返し作業ができるようにするために、工程内で持つ
最小の仕掛かり品(通常は1個、逆まわりでは2個もある。)
その他、標準作業の条件整備の留意点
・繰り返し作業ができるのは、1個流しでの「造り」「運び」。
・設備故障が少ないこと。
・品質不良が少ないこと。安全であること。
・異タクト連結作業:縁切り。
・同一タクト:位相合わせ。
・仕様差:加重平均で処置できること。
・教育、訓練の徹底
“標準作業は改善の原点、それが無いところに改善は無い”