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2012年12月

七つの第一(4/4)

著者: エイム研究所 矢野 弘

4.設備は整流第一

 設備は工程順に整流化してレイアウトする。すると工程の距離が短くなるので、1 個ずつ流しても運搬のムダは小さい。工程間の仕掛かりを少なくできるが、故障するとすべてすぐに止まってしまい大変なことになる。ということは「保全をしっかりしなさい」と機械がメッセージを送っていることが分かる。
 止まると大変なことになる状態のしくみをつくると、人はキビキビ行動するようになる。ムダなことなどできなくなるので、ムダをつくり出すこともしなくなる。改善のニーズを正しく出すには整流化です。

 

人の流れも物と同じ流れになり、工程管理も流れで行うようになる。人の仕事の仕方を改善したいならば、整流化すると必然的に良くなる。そのようなレイアウトも当事者に案を出して実行してもらうと職場は活性化する。

 

● 会社が成長する時は必ずこうなる

 会社をつくった時は、お金がないので場所も狭いし、設備も部分的にしかない。売り上げが好調になれば設備から増設していく。量が増える時は同じ設備を入れることが多く、同じ場所に設置する。
 さらに業績が好調になると、次の工程の設備を入れるが、狭いので空いた場所に設置する。流れが悪いと分かっていても、生産を止めてレイアウト変更できないので、とにかく空いている場所に増設していくので、流れはますます悪くなる。
 このままの状態で利益を出そうとすると「生産性向上」という改善をしようとする。つまり、時間当たりの生産量がどれだけ多くできるかの改善をするようになる。すると物がたくさん工程ごとにできるので、物で場所が埋まり、ますます場所がなくなってくる。さらに運搬が増えるのでフォークリフトの台数が増えて、通路も幅広くなり場所がさらになくなる。晴れの日は露天に材料や出荷品を置き、雨の日になるとパニックになる。
 必ずこの光景を通って企業は成長するが、このままにしておくと人の体でいう動脈硬化と同じで、少し売り上げが減っただけで資金繰りが悪くなり倒産する。

 

5.事はタイミング第一

 お金の投資は何度も行うことができるし、後戻りもできる。しかし、時間の投資は一方通行なので絶好のチャンスを逃した後に戻してやり直すことはできない。
 
● ウエディングドレス

 どんなに素敵なウエディングドレスでも、結婚式の後に届いたのでは役に立たない。選択として
①取りあえずのでも着て、式を挙げる。
②ウエディングドレスが来るまで全員を待たせる。
③式をやめる。
 事を行うのにタイミングを優先するか、品質を優先するか、すべてやめるかです。
 その場のことを考慮するならば、①のタイミング重視になる。

 どんなに良い製品でも遅れて届けては、お客さま側の「事」に遅れが出るので、お客さま側が困る。すると、不良が混じっていても、送った後に選別すればなんとかなる手段があります。なんとかなると何度もしてしまい、買う側も売る側もこの理屈になじんでしまう。海外調達品の不良が絶えないのも、この理屈が常識になっているからです。

 時間について効率を求めることがある。原価低減の活動で、生産性を上げる改善をすることがあるが、つくりすぎると総合的に悪くなってしまいます。またいくら安くつくっても、販売チャンスを逃すと安売りしないと売れなくなる。逆に原価が高くなっても絶好の販売チャンスだと高く売ることができる。

 仕事の効率とは、どれだけ手間をかけずにするかより、どれだけタイミング良く実行するかの方が大切です。

 

6.改善は誠実第一

善いと良いの違い
「善い」は志(こころざし) や行い(手段)のことで、「良い」は結果です。 結果さえ良ければ、悪い志でも、悪い手段でも行ってしまう人を悪人と言います。会社の利益を上げる方法で公然としていることが、どのようになっているか見てみましょう。

 例えば、量の変化対応のために請負や派遣社員にして、変化するごとに採用や解雇をすると収益を保ちつつ量の変動に対応できます。

 経営者としては安易な方法です。しかしいつ解雇されるかびくびくしている状態や突然の解雇は不安を抱えます。この形態で改善活動して生産性が上がり、解雇されるようならば誰も改善しません。協力もしないでしょう。むしろ残業収入が欲しいので生産遅延や不良での手直しは大歓迎です。

 人は喜怒哀楽の感情を持っています。感情の上に立った理屈で事を進めないと、いくら結果が良く出ても長続きしません。必ず悪い結果になっていきます。これを「悪因悪果」と言い、反対を「善因善果」と言います。

● 悪いことは放っといても伝染する

 教室の中に風邪を引いた生徒が一人いたとする。すると、うつそうとしなくても多くの生徒に勝手にうつっていく。放っておくと、ますますひどくなる。逆に健康優良児が一人いたとする。勝手に全員に健康がうつるかというと全くうつらない。善いことは努力しないとうつっていかない。努力をやめるとすぐに元に戻る。

志と結果と手段

7.経営はバランス第一

 いろいろな手段には、長所短所があります。徹底しすぎると長所が短所に変わるときがあります。「腹が減っては戦ができぬ」、だが「腹がいっぱいでも戦はできぬ」です。

 2:8(にっぱち)の原則があります。例えば、海外調達を20%展開すると会社内の混乱の80%はその調達先が原因になります。海外調達をこれ以上増やすと、ほぼ100%のトラブルの原因になります。

 コストダウンになるからといって増やすと、ロスコストが増大して逆にコストアップになる。ほどほどというバランスがある。

 

● バランス感覚が良いと倒れない

 バランスといっても中立という意味ではありません。走る時は、一度前にバランスを崩さないと進み始めることができません。さらに崩したままだと前に倒れてしまうので、足を出して走り始めないと進むバランスは取れません。方向を変える時や停止する時も同じバランスの取り方になる。

● F1カーのバランス

 フォーミュラーカーレースでは、加速や速度を得るための強力なエンジンが必要です。どんなに強力なエンジンが付いていたとしても、ブレーキがなければ危険だし最高スピードも怖くて出せません。強力なエンジンに勝る強力なブレーキがないと最高性能が出せません。経営のバランスとはこういうもので、進め進めの判断や行動だけでは危険です。

 

経営者(リーダー)には、時として「苦渋の選択」を迫られることがあります。工場閉鎖など多量の解雇をして会社の延命や立て直しをする手段です。バランスが崩れているのが分かっていても、ここまで至るまでのタイミングを怠ると、どんなに志が善くても大きな悪い手段をとらなければならない場合もある。これはリーダーとして覚悟しなければなりません。

 お巡りさんが持っているピストルは手段としては悪です。医者が使う体を切る道具であるメスも悪い手段です。進んで使う道具ではありませんが、仕方ないときの苦渋の選択として使うときは、使わないといけません。

 

それすらも避けてしまうと、タイミングを逃し、もっとひどいことになります。すべて第一なのですが、順番はあります。しかし順番どおりにはいかないのが常です。そのため、何に対して第一かをお話ししました。対処療法で良い結果になっても、「七つの第一」の中でどれか一つでも崩れれば、将来、必ず結果は悪くなります。

「七つの第一」は、その時々の選択(決断)の指針としてとらえてください。

苦渋の選択

 

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