地政学を経営に⑧ 失われた20年が雇用を産む(リメイク2019/7)

地政学を経営に⑤ 失われた20年が雇用を産む

日本は輸出によって経済を発展させてきた。特に世界通貨であるドルを稼ぐ事で世界から資源を購入し、

それを加工し輸出することで付加価値分の利益を得続けてきた。今では考えられない円安のおかげもある

アメリカの製造業は衰退し、怒ったアメリカは為替を360円/ドルから変動性にして

為替は70円台/ドルまでになった。そのために日本で製造しての輸出では為替損で利益が出にくくなったが、

稼いだドルでアメリカのビルを買い、日本でも不動産バブルが始まった

 

ますます円は強くなったおかげで、バブルがあった20年以上前の日本人の給与は世界一高いものになり、コスト競争力は落ちてしまった

そのため大企業のみならず中小企業もアメリカに工場を建てたり、賃金のとても安い中国にも工場を建ててコストダウンし、利益構造を為替と賃金格差で補った

国内の工場は海外に行ったため国内の雇用が喪失し、失業者が多く出始め、賃金を抑えるため派遣社員の仕組みを取り始めた

 

ここからが「失われた20年」の始まりです

失ったとは低成長を意味し、特にGDP(国内総生産)の低迷を意味します

生活では給与など収入が上がらない状態で、右肩上がりが常識だったのが上がらないので失われていると表現します

定期昇給はあるのですが、20年近くベースの賃金が上がらないどころか、少し下がる、デフレ状態です

 

海外は日本企業によって工場が建ち、雇用が生まれ、消費が旺盛になり、賃金が上がり、インフレになりGDP的にも繁栄してきています

すると日本と海外との賃金格差が縮んできました。中国とは30倍近くあった差が今では2倍以下と、ほとんどコストダウンの利点が無い状態になりました

2017年ごろから日系企業は中国から徐々に引き上げ、国内生産や未開の東南アジアに切り換え始めました

2018年度の国内の工場建設数は過去最大になり、当然、雇用が発生します

退職などで労働人口が22万人減少しててんとか海外からの研修生で20万人補ってとんとん状態です

85万人の雇用要求に対して、全く足りません

これが現在の「人手不足」の原因です

人口減少や若者不足も要因ですが、影響のほとんどは生産の国内回帰です

 

景気が良くないのに、雇用が旺盛になるのは、経済学では不思議です

2019年はますます国内生産に切り替わり、大企業が行なうと、その部品をつくる中小企業も国内生産に切り換え、人手不足は全域になります

雇用競争のために賃金を上げようとすると、今まで上げてこなかった入社10年以下の若い社員と不公平感がでてきます

新入社員の方が昇給率が良い状態では、現存社員が不満で辞めてしまいます

昇給は現存社員の全てに渡って昇給カーブを見直さなければなりません

経営者は大変です

 

国民とマスコミは失われた20年から、そしてデフレから脱出して景気が良くなる事を望んでいます

もし、今、景気が良くなると「とてつもない人手不足」になります

海外の研修生を増加したところで、焼け石に水です

経営者はより効率的な経営を求められる状況になってきました

工場は改善をすすめ、自動化や間接業務などをよりIT化やAI化を進める投資を求められます

さらに、そのようなことができる人材の雇用,人選,育成のサイクルを回す戦略です

 

今の状態は世界で始めて、日本が経験します

繁栄を納めた国が衰退の様になって、再び繁栄する経験を日本が始めて行ないます

再び日本人の給与がダントツに高くなってはいけません。再び海外生産に移行して雇用が衰退します

一般の政治家は景気が良くなることのアピールをして選挙に望み、当選後も政権を維持するために景気をアピールします

しかし、内閣と官僚は国際政治から国益を優先します

 

内部的には企業努力 原価低減

外部的には為替の安定,賃金上昇の抑制,物価上昇の抑制です

抑制の手段として消費税をタイミング良く上げて物価上昇を防ぎ、急な景気上昇を抑制します

政府(与党)は3%→5%→8%→10%と上手に操作しています

現在の内閣と官僚は雇用が安定して、外貨を稼ぐ企業を尊重し、国力を上げる国益を考え実行していきます

景気が良くなる事が良いと思っている一般の国民には分からないでしょうが、良すぎるのは製造を要とする日本には悪い事です

政治家が,景気上昇による物価を抑えるために消費税を上げますと選挙活動すると落選します

マスコミが賃金上昇で製造業が海外に逃げるので、程々のデフレが良いと唄うと、視聴者や購読者にそっぽを向かれます

一般的な政治家は票でマスコミは視聴率を優先するため、本当の任務と目先の欲くとでは、発する言葉はちがいます

 

年金や医療の負担が国として大きくなっています

大きくなる原因は正社員の減少で社会保険を納める人が減っているためです

正社員という雇用を増やす事で、社会保険の納付者が増加し、年金問題も解決の方向に向かいます

そのため、政治家や官僚は国内の雇用を増やす政策をしなければなりません

景気向上より継続的社会(生活)の安定が望ましい姿です

 

バブルを経験した人で、景気が良いと感じるのはどんなことなのか・・・

一万円札を振ってタクシーを呼び止める

買った家(不動産)が急に2~4倍に上がる

ボーナスを現金で貰うと、袋が立つ

湯水のように会社の経費で接待をする。社員のも経費で落とす

こんなことを望んでいますか?

 

ともかくデフレの状態を長く、内閣と官僚によって築いたおかげで、生産の国内回帰をつくり、雇用が生まれました

円安状態も連動するため、海外からの旅行者も、うなぎ登りで増加し、それによる雇用と宿泊私設建設増加も生まれました

失われていません20年

 

 

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