2020年4月
コロナウイルス感染防止 トヨタ生産方式の応用 1~4
コロナウイルス感染防止 トヨタ生産方式の応用
1.総量規制 3密防止
スーパーマーマーケットでお客様を制限無しで入れると3密が発生する
そこで総量規制の仕組みを応用する
買い物カゴを例えば100個入り口に準備して、お客様は1個づつ持ち入れるようにする
すると買い物カゴの100個=100組人までしか入場出来ないので、その他は入り口で待つ事になる
一組人出ると買い物カゴが空くので、次の待っている一組人が入場できる
2.巧遅より拙速を尊ぶ
50点でもよい直ぐやれ とか 結婚式の後のウエディングドレス とも言う
どんなに良いアイデアでもタイミングが遅れると効き目が無くなるという意味
良くなるのだったら、不足でも直ぐやる
3.標準作業化と自働化
標準作業の3要素 = 作業順序,タクトタイム,標準手持ち →一個流し(一人流し)
スーパーマッケットまど不特定多数の人が来る場所で、3密を避けてくださいとか消毒をしてくださいとかお願いしても、無頓着の人は従わない
そこで、消毒を行なう道具を手順通りに並べて、必然的に作業させるようにする
①入り口と出口は別々に分ける(一方通行)
②入り口は1人が通れる幅にする
③入り口前に靴底を殺菌する次亜塩素酸水を浸したマットを敷く(3歩分の長さ)
④カートを置く
⑤買い物カゴを置く(総量規制)
⑥アルコール消毒ポンプの押すところに自動ドアのスイッチを置く
⑦自動ドアが開く(アルコールを使わないと開かない)
⑧買い物をして頂く
⑨レジ床には立ち位置の絵マークを貼り、レジ者やお客様の3密を防ぐ
⑩出口に自動ドア→次亜塩素酸水マット(カートの車輪を消毒)→カゴ返却(レジでもよい)→カート返却→アルコール消毒ポンプの順に配置
4.後工程はお客様
必要な物を必要なだけ必要な時に後補充で引き取り
税金は市民の方から預かったお金であり公務員や議員の物ではない
平時は議員が会議で決めて公共の施設や補助として市民に役立つ投資をするが、今回のように異常時は異常時としてのお金の使い方がある
市や国は市民に税金からお金を上げるという感覚ではなく、預かったものだから戻す感覚である
市民は貰うのではなく、戻してもらう感覚。市が市民に渡すお金は投資として戻す感覚。そのお金を市民が何に使うかは、市民が決める
それぞれのお客様をそれぞれ決めて使えば、使った所もまた使うため必然的にお金が回り始める
お金は使ってこそ価値があり、止めずに回ってこそ本来の通貨である
物づくりの小話し、あれこれ 76~80
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様) 76~80
76.組立の工程編成とジグソウパズル
組立の単位作業は、ちょうどジグソウパズルの5000ピース前後に相当する。
これを全部バラして、1ピースから並びかえるとすると大変な労力と期間が必要である。
だから、機能別に小グループに集約して、10ピース/1グループ程度にしておくと、500ピース
のジグソウパズルを仕上げる手間で済む。
そして、この10ピース/1グループは基本的には崩さない。小さな完結工程である。
1ピース単位だと、どの部分のどの位置へ、はまる単位作業かわからないが、10ピースになると、
特長的な図柄がでてくる。そうすると、そこにストリー性がでてきて、覚えやすい、仕事の固まりと
なる。
77.万年最下位
完成車ランニング(不良車)=塗装タッチという時代があった。自販返車もかためて帰ってくる。
手直しで、残業につぐ残業、QCサークル活動すら開く余裕がなく、低調であった。
秋のブロック別運動会は、万年最下位。大げさに言えば暗黒時代である。
ひとつだけでも、光明を見いだし他課に勝たないと、どうも腹にすえ兼ねる。
次のことだけ、必死にやった。
一つは、電話ボックスのような、喫煙箱をやめて、何人かが座れミーティングできるエリヤの確保。
(いまでこそ、常識だが、当時は極めて少なく、ほとんどなかった)
二つ目はQCサークルの復活、最後は運動会3位以内入賞。
その秋、運動会3位となった。また各組ミーティング室をなんとか持てるようになった。
QCサークルも活性、これらがきっかけで、他課と対等に勝負できるようになった。
職場活性化の目的は1つでも、その手投はいくつもある。この程度のことが、好転する1つのきっ
かけになる。
78.ほめないのは、自己逃避
他社を見学したり、研修会に参加したときに、概ね2つのタイプに別れる。
「たいしたことはない」「あの程度のことは、こちらでもやっているよ」「2つ、3つは、ましな
事例はあったけど、全体としてはレベルは高くない」といってしまう人。
もう一人は、「たいしたものだ、新しい工夫が入っていた」「うちでもやっているんだが、やり
方が少しちがうんだよナ」「是非一度まねてトライしてみよう」という人。
これは、①全体をみているか、個々をみているか②見る人の経験、レベル、プライド③参加の動機
が自発的か受け身か。等々によっても違ってくるが、まずいえることは、
前者の場合には、否定しているのだから、前進はない。しかも行動もない。
後者の場合は、今後に繋げようの姿勢がある。
見学したり、研修会等に参加して、収穫がないというのは、参加者の姿勢や意気込みが悪いだけと
思ってまちがいがない。
他社でみるものが無いなんてことは、ありえない。そんな会社ならとっくに潰れている。
誉めないのは、自己逃避(業務逃避)しているだけだ。
79.売れたからつくる。売れるだろうからつくる。
仕掛けは、順序か後補充かの2つである。その組合せがあるので、仕掛けは3タイプとなる。
後補充は、売れたから(確定情報により)つくるということになり、
順序は、売れるであろうから(予測情報により)つくるということになる。
どちらが、より、ジャストインタイムか、はおのずと答えがでている。あとの補充方式がよい。
ただ、種類が多いと出店をもてないので、順序、もしくは順序+後補充の仕掛けとなる。
80.見かけの能率と真の能率
10人いて、100個の製品をつくっていた。それを10人で120個の製品をつくれるよう
に改善した。たしかに能率は上がったが、必要数が100個なら見かけの能率であり、むしろ
20個余分にムダが出来たと考える。これを8人で100個つくるようになれば、真の能率向上
である。
ある工程で、リードタイムを20分短縮し、スリム化したといっても、次工程のよその課で、
その分、停滞(在庫)が増えたとすると、これもスルーでみれば、改善されたとはいえない。
これに似たことで、こんな例がある。工程間の仕掛かり部品が多いといって、改善している職
場のもう一方で、その比でない、部品をつけた完成車両を一杯もっているような、理にかなわぬ
状況をみることもある。
ショップ間のタクト差なども含めて、上記の、見かけの能率と真の能率を本当によく見極める
ことが必要である。陥りやすい過ちである。
地政学を経営に⑨ なぜ政府はマスク生産を中国に発注したか
地政学を経営に⑥ なぜ政府はマスク生産を中国に発注したか
武漢コロナウイルス感染拡大防止でマスクを国民に配る事をした
2億枚というとてつもない数量である
継続的にもつづくので、さらにとてつもない累計数値になる
生産するのには多大な投資である材料,設備,人員が必要になる
国内で生産すれば材料メーカー,設備メーカーや雇用へと経済的に良い方向にまわるの、なぜ中国に発注するのか
<答え>
中国に進出している日系企業は中国で売上や利益を上げている
ため込んだ利益の通貨は中国の人民元であるため、中国でしか使えない
日本円やドルに換金しようとしても中国は外貨が減るので制限をかけて換金をさせない
会計上利益が出ていても世界的(地政学的)に中国など社会主義国の通貨は他国に使えないので紙屑に等しい
この紙屑を活かすために、今回政府がとった方法が、中国に進出した企業にマスクの発注をして人民元で生産し日本に送る
日本政府はその代金を円で日本の口座に振込み支払う
これで日本円に換金できたことになる
中国地で人民元使う→マスク(物)になる→日本に送る→円で日本の口座に支払う
中国としてはマスクを輸出して会計上は外貨(円)を得た事になるが、現物のお金は日本にある
<追記>
中国から撤退したい場合、残った資産(利益も含む)を円かドルに換えて引き上げたい
しかし中国は外貨が減るので、それをさせないために因縁的規制をかける
今回のマスクは資産の回収を円に換える手段の一つです
物づくりの小話し、あれこれ 71~75
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様) 71~75
71.しくみと改善力は天秤の関係
しくみをうまくやりすぎると、改善力が落ちる。
しくみがでたらめだと、改善力でカバーしようとする。天秤のような関係にある。
文武両立せず、両雄並び立たず、というか、なかなか上手くいかないのが、常ではあるが、この2つ
がデットヒートして、競いあえば、本当によくなってくる。
しくみがうまくいきすぎて、一見よく見える場合には、甘々になっている場合があるから、注意。
最近は、ややもすると、OA化などによって、いろいろな支援システムができ、情報だけが先行し、
改善力が弱くなってきている傾向が懸念される。
ここでいう、改善力とは、
1.作業をみて、なおす力
2.設備をみて、なおす力
3.品質不良、故障をなおす力 であり、
なぜなぜを繰り返し、追求していく力をさす。
72.雲泥の差
理解してもらうエネルギーを1とすれば、納得してもらうのは3、やる気にさせるは5、実行して
もらおうと思うと10、のエネルギーが必要である。
ましてや、言わなくても、みずから課題をみつけて、実行したり(更に増幅したり)するのは、20
のエネルギーを注ぎ込む必要がある。
上記の「~してもらう」という用語を「自ら~をする」におきかえても同じで、努力がいるのである。
「言うは易し、行い難し」とはよくいったものである。
理解すると実行するの差は、少しオーバかもしれないが、雲泥の差ほどの開きがある。
憎き怠惰の業よ!
そんな比であるから、方針展開にしても、フォローをきっちりやらないといけない。
ややもすると、「もう、済んだことを、とやかく言っても仕方がない、大事なことは、これからどう
するかだ!」といって、次の計画の論議にシフトする。これほど「楽なものはない」。
同じようなことが、新機種の立ち上がり直後にもよくある。
それが、売れなかったり、評判がわるかったり、儲けられなかったりすると、その車の粘り強い育成
よりも、次の新新種の準備にシフトし、期待する。
今、売れずして、次の車の売れる保証がどこにある。
今、改善して、生産の流れをつくらずして、次のレイアウト・工程計画で、うまく流れをつくれるは
ずがない。要は今の実力以上のものは、できないということである。
73.目のない(省という字の目がない=少)、少人化ラインとは?
必要生産数に応じ、生産性を落とすことなく、何人ででも、ラインをつくりあげること。
すなわち、ラインが定時で終わるようになったら、無条件に1人(1工程)省人し、作業バランスが
とれるラインにすることにより、常に1人工分の仕事を与え続けることである。
その時の、技能員の集約化(大部屋)の条件は次の式で表わすことができる。
(N×8) = (N-1)・(8+T)
T:許容残業時間(H)
N:必要技能員数(人)
――――――――――――――――――――――――
| 残業時間 | 2H | 1H | 0.5H |
|――――――+―――――+―――――+―――――|
|技能員(N)| 5人以上 | 9人以上 |17人以上|
――――――――――――――――――――――――
残業2時間の枠のある職場であると5人以上、それが1時間の枠しかない戦場だと9人以上の技能員
の大部屋化が必要である。
そんなに人が集まっている戦場ばかりでないので、以下の方法によって、少人化をはかる。
1)仕事の分担を見直す。 → 連結方式
2)ラインの統合により負荷(生産品目の引きあて)を見直す。 → 混流方式
3)人が移動して、端数工数を吸収する。 → 集合方式
4)それらの組合せ。 → 混流・集合方式
各々、特有の問題点を持っており、それを解決するのに、苦労しているのである。
74.パジャマのポケット
通常のパジャマは、胸元や両サイドにポケットがついてある。あまり意識していなかったので、気
付かなかつたが、自分のパジャマを調べてみると、確かについている。
夜寝るだけなのに、なぜポケットがついているのだろうか?
この話、朝のテレビ番組で、スポット的にとりあけていたのを聞いたのであるが、一瞬、そういえ
ば、「ムダだナ?」と思ったし、「何か意味があるのだろうか」と興味ももった。
各々のメーカから、その「わけ」を聞くと、次のような理由となる。
①チヨットした小物入れ(例えば夕バコとかメガネとか)
②デザイン的はイメージアップ、バリエーションアップ(付加価値を高める)
③胸が透き通って見えるのを防ぐ
④子供の場合は、ポケットに「夢」を入れる、というメルヘンの世界
⑤病人や、入院患者にとっては、パジャマは生活着。だから通常の服のポケットと同じ用途となる。
等々である。特に⑤の「わけ」は説得力がある。
なるほどナ……。「夜、寝るときに着るもの」という思い込みが「ムダ」と思わせた。
よく確認すると、それなりの理由があったということである。
今あること、今起こっている現象、必ず「わけ」がある。
その「わけ」をしっかり掴むことが、しっかりした対策に繋がる。その「わけ」をしっかり掴まない
と全てのパジャマのポケットをとってしまう対策になってしまう。
75.不愉快な距離
ちょっとした実験があった。待ち合わせをしている女性に、だんだん近づいていって、どこまで距
離をつめると、彼女は位置をづらすだろうかという読みである。
周辺の混雑の状況とか、近寄る人の風体によっても多少違ったデータになると思うが、その実験では、
2mぐらいまでだと、位置をづらすということはしなかった。
相手かまわず、1mまで、接近すると、少しづつ位置をづらすという行動があった。
A嬢だけでなく、B嬢もほぼ同じであった。
人のまばらな電車の座席でも、ある距離まで近づくと、位置をづらしたり、席を立ったりする現象
がみられた。相思相愛の二人は別として、通常、自己防衛ゾーンというか、不愉快な接近距離という
か、そんなものがあるようである。これは動物の本能的な行動を示すものかも知れない。
にもかかわらず、工程の場では、共同作業とか、干渉だとか、つぱめが電線に列をなしているよう
な(肩が触れる様な)工程が見受けられる。
人間だから気分の悪いときもある。不愉快な距離にならないような配慮が必要である。
なかでも、必ず接近しなければならない共同作業は、距離にプラスしてタイミングがあり、イライラ
作業の最たるものと考える。この不愉快な距離を、1日中とらせているとすると、罪は深い。
物づくりの小話し、あれこれ 61~70
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)61~70
61.餅の青カピ
正月の餅は、数多くつくるので、しばらくすると青カピがはえてくる。
なぜ青カピがでるのか?、青カビを発生させにくい様にするには、どうしたらよいか?
・餅をつくときにできるだけ、水を使うのを控えるとよい。
・風通しのよいところに置いておくとよい。
・吸湿性のよい、木箱に入れておくとよい。
・薄い、切り餅にして、乾しておく。
それ以外にも、多くの答えがあるかも、知れない。
しかしもっと確実な、青カピを発生させない答えがある。
「青カビが出るまえに、食っちやうことだよ…」
林屋喜久議の落語での小話である。
青カピが発生させるほど、”餅をつ<な”ということになる。
造り過ぎと餅の青カビ、これに似たことが生産の場にもある。
スペース対策、スキッドの製作、防錆油塗布、仕分け等々。つまらぬ対策をしていないか?
結果の処置ばかりしないで、「造りの仕組み」をしっかりやらないといけない。
62.目的と手投
組立ラインの「物流のありたい姿」はなにか?という質問があったとしたら、どう答えたらよいの
だろうか?、いろいろな答え方があるとは思うが次のも一つである。
部品を、ラインサイドに持って行ったとき、まさに「前に供給した部品が無くなる直前」であった。
という状態ではないだろうか。
ラックに部品が残っていれば「早いタイミングに持ってきた」ということになるし、部品がなけれ
ば「遅いタイミングなので欠品になっている」はずである。
便ピッチ、発注テーブル、供給ルート・方法、かんばんの振れ、等々は、ありたい姿(目的)を実現
するための手投である。手投が目的になってしまっていないか?よく錯覚するところである。
63.新機種の評価
新機種がでた。開発期間も短かかったし、その生産準備や立ち上がりも抜群であった。品質もすべ
ての評価が○で、かってない出来栄えであり、万万歳である。
ところが、「思ったほど売れない」。
我々の部門はやることをやった、売れないとすれば商品力や販売力の問題である!、本当だろうか?
何かがおかしいに違いない。何かは、わからないが基本的なものが間違っているのだ。我々は何かを
見落しているのだ。と考えるほうがよいのではないだろうか?
いろんな指標は過去の比較においてだされたものであったろうし、品質だって、お客様が要求して
いる特性と違うものを評価しているのかも知れない。
売れて、そして儲けて、万万歳なのである。
そうでないなら、何かが間違っている。そんな風に考えないと……。
仮に商品力や販売力の問題だとすれば、その部門を補完する動きをとらなくてはならない。
64.スループットと在庫と経費
スループットとは販売を通じて組織が金を生み出す速さのこと。
在庫とは販売するのが目的で、組織が購入に費やした全ての金のこと。
経費とは在庫をスループットに変えようとして組織が費やした全ての金のこと。
◇1個でも、多く売れるようになったか(スループットは増えたか?)
◇(在庫は減ったか?)
◇(経費は下がったか?)
この3つの鍵が、バランスよく機能し、その結果、「儲うけた」というのが製造組織のゴールである。
私の、あなたの、ゴールは別にある。
65.ひと口で表現すると
日本人は短歌とか川柳とか、座右の銘とか、短い言葉で全容を表現することが、好きである。
何事も、「ひと口で表現すると」となる。TPSについてもひと口で要約すると、どう表現すれば良
いのだろうか?
ひと口で表現する是非は不問として、あえて、まとめてみると……
その1
TPSは、JITと自働化の2本の柱でなりたっており、その前提条件は平準化である。
JITは物の流れ化であり、自働化は良いものをつくることである。
その2
必要な時に、必要な物を、必要な量だけ、できる限り小さな単位で、<造る>あるいは<運ぷ>で
あり、その基本は後補充生産である。
その3
ムダを顕在化させ、それを撲滅させることである。(かんばんは問題を顕在化させ、人間の知恵を
ひきだすツールである)
その4
リードタイムを短縮し、生産性を上げ、儲ける集団として年輪を刻むことである。
その5
あるべき姿に挑戦し、「まずやってみる」ことである。
まだ、他にも、いろいろな表現の仕方があるとおもうが、まあこれぐらいで……。
66.わからないという灰色の領域
物事に「良いこと」と「悪いこと」しかなければ、また、それがよく判るなら、苦労は少ない。
しかし、「良いか、悪いか、判らない」という灰色の領域というものが必ずある。
それは、時々の新しい判断基準でも異なってくる。正しいと思っている現状維持も、はや退化し、変
わっているかも知れない。
自主研の良いところは「判らない、灰色の額域」をテーマに選び、展開するところにある。
だから、自主研究という名がつくのである。
判らない領域に、粘り強く挑戦し「まずやってみよう」という雰囲気ができることが自主研です。
「良いこと」が判っているのに、実施していないのは、やって下さいということになるし、「悪いこ
と」は、やめて下さいということになる。
67.かんばん化のいきさつ
在庫が多い?「だからかんばん化して」といった表現をするひとが多い。
決して、間違いではないが、もともとかんばんにしたのは、「切れて(欠品して)仕方がないから」
生まれたのである。そのことの意味をよく認識する必要がある。
かんばん化して、欠品に成りやすいなんて考えている人には……。
68.お米とリードタイム
海外調達が難しいとか、リスクが多いとかというのも、リードタイムが長いからである。
リードタイムが長いと、予測がむつかしく、、変化に対応できない。
93年度のお米の不作は、我々の生活のリズムを狂わし、大きな出費にも繋がった。
国政としても、外米を余してしまうようなことにもなり、他国から顰蹙をかう事態すらおきてしまっ
た。これも、お米のリードタイムが、「一年という長さ」であるために、難しさがあった。
仮にお米が12毛作(1ケ月のリードタイム)であれば、外米を余したとしても、その量は少ない
はずである。また的確な手も打てたと考えられる。
生産は、リードタイム短縮との戦いだといって良い。
69.運搬はムダなのか?
運搬は付加価値を生まないからムダである。いやいや、物は移動させなければならないので、これ
はムダとはいえない。
どちらの言い分にも、理がある。運搬とはそういう性格のものである。
いまの生産条件では、やむなくA点からB点まで運搬しなければならない。しかし、うまく工程を連
結すれば、その運搬作業は無くなってしまう。またA工場から、B工場へ運搬しているものでも、工
程系列を変更することで、無くなってしまう。
A会社からB会社へ運搬していたものでも、内製化によって無くしてしまうことだってできる。
今の生産条件のなかではという前提条件がつくのである。
だから、運搬の合理化を考えるときは、その造り方をしっかり見据えていないといけない。
ひょっとすると、ゼロにすることだってありうるのだから……。
70.構内運搬の移動は10%が相場
運搬時間 = 移動時間 + 手扱い時間 である。
移動時間とは、A点-B点-C点-D点-E点と「物」を集めにまわったり、配りにまわったりする
時間である。
手扱い時間は、積んだり、降ろしたりの積降ろし時間であり、生産量に比例する。
(捜したり、積み替えたりするのは、ここで言う積降ろし時間でなく、ムダである。)
構内運搬の場合、
運搬時間を30分/回とすると、移動時間は3分(10%)、手放い時間は27分(90%)という
のが、相場である。
仮りに30分/2回の多回運搬(運搬ロットを小さくすること)をしたとすると
運搬時間 = 移動時間 + 手扱い時間
従来 (30分) = (3分) + (27分)
今回 (33分) = (6分) + (27分)
|………▽4分の改善
改善 (29分) = (6分) + (23分)
となり、少しの手扱い改善(▽4分)で運搬の小ロット化が可能となる。
一度に運ぷ方が徳と考えてしまう人や、運搬は生産量と比例しないと決め込んでいる人には、この式
の意図するところを考えてもらいたい。
物づくりの小話し、あれこれ 51~60
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)51~60
51.動かぬパレット
数年前の仕入先での話である。
プレスと板金溶接区の間に、プレス完の仕掛け品の置場があった。
しばらく、立って見ていると、部品が頻繁に動いている気配がない。ずっと居れる時間も無かったの
で、この場所から、このアングルで、「1時間に1回、写真を撮っておいてください」と依頼した。
24枚どりのフィルム3本分で、9日分である。これを時系列に並べてみた。
一見同じように見えるパレットも、塗装の剥げているもの、少し変形しているもの、中のワークの状
態、パレット自体の向き、等々 1つ1つ表情がある。
だから、先にあったパレットか?、後で持ち込んだパレットか?、このパレットはいつからそこに
いたか、手にとるように解る。
その置場の監督者は、そんなに物が停滞しているとは思っていなかったようであった。
真面目な彼が「うそ」を言っているはずがない。事実そう思っていたのである。
躊躇することなく、50%在庫低減の目標が設定できた。
便毎の荷量等も、写真で、積載状況が解る。出発直前のゲートを閉じる前に1枚写すだけである。
このころのカメラは時間まで、記録してくれる。
1日4便だと、1本のフィルムで、6日分の荷量や積載状況が解る。
かんばんの振れだって、一目瞭然である。
いろいろなグラフや表もよいが、写真を並べると、事実を写しだすので、信頼度は高く、説得力があ
るように思う。
ビデオ、写真は、動作解析や調査に活用するとよい。
52.TQC・TPM・TPS
体を鍛えるスポーツが沢山あるように、職場の活性化の手段もいくらでもある。
TQCでも、TPMでも、TPSでも、徹底してやることである。
TQCがやれるものは、TPMでもTPSでもやれる。またTPSがやれるものは、TPMでも、
TQCでもやれる。TPMもしかりである。反対に○○○が出来ずして、○○○がやれるものか!
といいかえることができる。
どの手法が、今の環境下で、一番適しているかの効率からみた、選択はあるかも知れないが、大切
なのは こだわって徹底した展開をはかることである。
それは、過去の経過が教えている。全て、学んだものぱかりであり、進め方が解らないというものは
ないのだから…。
これらは 野球の バットとグローブとボールのようなものである。
どこも、大事なのである。個々の職場と課題で、切り口を選択すればよいが、同じことを教えている
ことに気づくはずである。
53.タワーリング、インフエルノ
高層ビルの大火災の映画である。たしか、ポールニューマン、スティーブマックインが主演してい
た。最近でも、ビデオ放映されている。
新任塗装課長時代、そのビデオを見ていた時の話しである。
まだ新任1ケ月もたっていなかったときであったろうか?、その火災場面をみていて、妙にむな騒ぎ
がした。塗装課というのは、火災が一番恐い職場であったし、新人課長というひた向きさが・そんな
気持ちにさせたのかも知れない。
そのままでは、いやなので、夜勤で稼動している職場に電話をかけた。
「いまこんな映画をみていて、なんとなく気になったので、塗装ブースのアース、すぐ見てきて欲し
い、一時間後、再度電話する」と職長にたのんだ。
唐突だったので、職長も面くらったと思う。
しばらくして、職長から、電話がかかってきた。
「アース、チェックしておさました、1ケ所、すこしゆるかったので、増締めしておきました」とい
う返事であった。それで安心した記憶がある。
歳月がたってから、このできごとを思いおこす機会があった。
「あの時、本当に増締めしたのだろうか?」「新人課長を安心させるために、ベテラン職長がチョッ
ト脚色したのだろうか?」
定年退職した職長に、なぜか聞きたいような気もするが……。
後者だとすると(なんとなく、そんな気がするのだが)心にくい、小さな「うそ」である。
54.集団写真
ある人が製造課長になって着任することになった。製造技術や生産技術にもいたので、技術的なこ
とに詳しい。監督者の人は、いろいろテクニカルなことも聞かれるだろうと準備して、引継ぎを待っ
ていた。
ところが、いっこうに引継ぎをしない。準備している者にとっては、拍子抜けである。
初めての指示が、「組単位で、全員の写真をとって下さい」ということであった。
400名以上の在籍者がいる課であったが、その写真をもとに、数ケ月で全員の名前を覚えられた。
その効用は言をまたない。「人を大切にする」第一歩は、まず名前を正確に覚えることである。
「君、君、」と呼ばれたり、「チョット、チョット」と呼ばれたり、「オイ、オイ、」と呼ばれる
より、「なに、なに、さん」と呼ばれる方が、相手さんも、気持ちがよいにきまっている。
上に立つ人ほど、人を介して仕事をしている、あるいは仕事をしてもらっている。
「物」の名称を覚える前に、それを造っている人、運んでいる人、を先に覚えるぐらいの、心づかい
があれば、よいと思う。
55.設備改善のまえにまず動作改善
動作改善は地味な活動である。手順や動作をこのように改善しましたといっても、改善前の動きが
どうであったか、わかりにくい。また条件がかわれば(タクト、型式比率等)、せっかくの改善が消
えてしまうのではないか?という心配もある。それに、0.01秒~0.1秒の小さな改善の積み上
げである。
それに、くらべて設備改善は、省力化した部分は、目でみてすぐ解るし、条件が変わっても維持し
やすい。それに効果も大きい。だから、どうしても、レイアウトや自動化改善に走りやすい。
けれども、これらには、必ずいくぱくかの設備投資がともなう。
動作改善で目的を達するなら、過剰投資ということになり喜べない、改善どころか、ムダを発生さ
せてしまう。
だから、まず動作改善を徹底して行い、そのうえで必要であれば、設備改善に移行するようなステッ
プを踏むべきである。
なお、動作改善の評価として
① 足の動き、一歩(75cm)=0.3 秒、(但し、第1歩は、0.5秒)
② 手の動き (10cm)=0.1 秒、
③ 指の動き (10mm)=0.01秒、という目安がある。
56.相思相愛
相思相愛というのは、男女のなかだけではなく、人間関係にもあい通ずるものらしい。
「あの人は、すばらしい、信頼できる」「とても良い人だ!」とこちらが思えば、相手も好意をもっ
て接してくれる。
「こちらが、何となく嫌いだ!」と逃げにまわると、相手も避けて通る。
こじれてくると、朝の挨拶すら、素直にかわせなくなってしまう。
辛うじて、大人としてのふるまいで、露骨にならないようにしているだけである。
人間のテレパシイというのは、恐ろしい「冴え」をみせる。
いくら、口で合わしていても、わかる。
唯一の対策は、嫌いな人をつくらないことである。
57.企画台数とレイアウト
企画台数と実績台数のギャップ、これは過去に何回も経験されている人がいると思う。
嬉しい方のギャップは機会損失というマイナス面はあるけれども、売れるわけであるから、そう心配
しなくても、追加投資したりして、対応できる。決裁もおりやすい。
ところが、反対の場合は、固定費のカバーができないばかりか、島工程ができ、端数工数が処理で
きないなとの憂き目をみる。
ひどいレベルになると、当初、8名で工程編成していたところが、1名で対応しなければならない台
数まで、落ち込むことがある。そうなると、ますます投資はできなくなる。
だから、新しいレイアウトをするときは、
一筆書き、すなわち1人でスムーズにまわるとしたら、どんなレイアウトにすればよいか?を原点と
して検討するのがよい。それができると
①端数工数を1ケ所に集められる。
②作業をどこでも切れる。
ということになり、少人化ラインに近づける。
58.ホーチミンの革命戦争
ホーチミンは、ベトナムの英雄である。彼が革命軍を率いて、戦いに明け暮れしているとき、戦士
の一人から、「この戦いは、いつまで続くのか?」という問いがあった。
彼は、「始めと終わりはわかっている。しかしその長さ(期間)は、君達の努力しだいだ!」と言っ
たという。古い戦士が、テレビインタビューで話しているのを聞いた。
素材を「始め」におきかえ、完成品を「終わり」にたとえると、「その長さ」はリードタイムとな
る。それを長くしたり、短くしたりするのは、そのショップの努力しだいということになる。
「始め」を狙い、「終わり」をあるべき姿におきかえても、通ずる言葉である。
59.止めて、直す
作業が遅れたとき、異常を見つけて直す時のために、定位置停止がある。
作業者の意志で、停めたり、動かしたり出来るというのが、このツールの最も優れた特長である。
口で、逐一、伝えるところを、停めることによって意志表示し、管理・監督者に、ここに「このよう
な問題点がありますよ」と教えてくれているのである。
ところが、増産、々、の期間が長く続いたものだから、「止めて直す」という一番大事なことを忘
れてしまった。
少し、人は沢山いれても、可動率を上げた方が徳である。あるいは、止めて直すより、ラインをおり
てから、直す方が徳であると考えてしまう。
これは、そのときどきの効率を求めているだけで、問題点を顕在化させて、その「源を絶つ」とい
うことを忘れているのである。
勝つために、投手ローテーションを崩し、無茶な連投をさせたり、若手を使わず、古手の即戦力選
手ばかり使って、勝負しているチームのようなもので、将来の楽しみはない。
車の運転もまず「停める」ことから教える。練習であっても、停め方の知らない人を、車には乗せ
ないはずである。
勇気を持って、「止めて、直す、」ことのできるショップが、最後には勝者になる。
60.ピンチのあとにチャンス
野球でも、チャンスを逃がしたあとに、ピンチがきたり、逆にピンチのあとにチャンスが不思議と
おとずれる。心の動揺・油断といったものが、そのジンクスをつくっているのかも知れない。
生産の場でも、生産変動による、タクトアップとタクトダウンがある。
一般的には、量産効果のあるタクトアップがチャンスであり、タクトダウンがピンチということにな
る。しかし、タクトダウンにも、よいことが多くある。
①工程能力、設備能力に余裕ができる。
②残業、休出が減らせる。
③応接比率が小さくなり、安定する。
④減産なので、早めのトライ、訓練が計画できる。
⑤端数工数が、丁度よい程度になり、リリーフがなくせる。
なのに、良い方をあまり言わない。タクトダウンのデメリットを強調する。
・固定費の償却が遅れる。
・⑤の反対の現象、すなわち、島工程になりやすく、端数人工が出やすい。
・頭数を減らすために、工程編成の組み替えが大きく、混乱する要因となる。
・職場の意気があがらない。
さらに加えるとしたら、こんなことだろうか?たかがこの程度である。
問題は、むしろタクトダワンの時に、工夫したこと、努力したことを、タクトアップ時に元に戻して
しまう(維持できない)ところにあるようだ。
ず~と坂道、ず~と登り道、という道はない。生産に変動はつきものである。
タクトダウンであっても、動揺したり、油断しないで、次のタクトアップ時のプロローグぐらいに
とらえて、飛躍のチャンスにするとよい。
物づくりの小話し、あれこれ 41~50
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)41~50
41.スポット改善とスルーの改善
ある工場の、あるショップの仕組み改善をしたとしよう。それを維持したり、崩したりするのは、
そのショップの力であるが、他ショップヘの影響が少ないので崩れ行<ケースがある。
ところが、素材から完成品までスルーで仕組み改善してお<と、1つのショップが崩そうとしても、
全ショップ生産できなくなるので、そう簡単には崩せない。
手間はかかるが、仕組み改善はスルーで進めたい。またそうすることが、全体の成果につながる。
42.4つの物の状態
物の4つの状態とは、加工されているか、検査されているか、運搬されているか、停滞しているか
である。改善とはこの4つの総和(リードタイム)に対し、加工の比率を上げることである。
43.集合方式とりリーフ作業
現在の条件下では、改善も、かなりの部分しつくした。混流するには、いれ込む技術が無い。あっ
たとしても設投が大き<採算あわない。あるいは型替え時間も大きすぎる。
検討し尽くした結果が集合方式であって欲しい。安易に集合方式に流されると、本来の改善のニーズ
が薄れてしまうことがある。(仕組みができたところで、安心する)
リリーフマンが、理想のリリーフをしたとしても、7割程度の仕事の効率である。
そのリリーフ作業を無くして、はじめて、集合方式の成果がでる。
44.少数精鋭から多数精鋭へ
少数に選ばれた人はよいが、その他の人は、自業自得ということか?
いつの時代も、競争社会のなかでは、さけられない宿命とはいえ、人を減らすときや、人の効率を求
めるとき、かならず引き合いに出される言葉である。
(多数精鋭の努力を過去にどれだけしたかも忘れて……。)
多数精鋭となる教育、訓練をしっかりやり、実績もあげて、少数精鋭という言葉が出ない集団にしな
ければならない。
45.元肥のまき方
百姓仕事をしている人から、聞いた話である。
田に撒く元肥は、稲のまだ植えていない田にまず撒き、稲の成長にあわして、分割して撒くというの
が本来のやり方らしい。ところが、稲が生えてくると、元肥の撒く手間が随分かかってしまうので、
できるだけ、稲のない状態の時に、一度に多めに撒いておこうと考える横着者がいた。
生産でいえば、ロット作業である。
例年であれば、それでも、収穫量の差もなくできていたらしいが、今年の夏は、異常な暑さで、雨
も降らない、そして長い夏であった。その異常気象のために、元肥をロットで撒いていた田は、稲が
枯れて全滅した。手間でも、成長にあわせて、元肥を撒いていた田は、例年と差なく、収穫した。
ここにも、ロット生産と一個づくりの差の教訓がある。
46.渡り鳥と島渡り
端数工数やアイドルが出る、島工程の作業のやり方を表現したものである。
渡り鳥は、一旦目的地へ着くと、しばらくそこで滞在し、暮らせるだけ暮らし(生産できるだけ、生
産し)、暮らせなくなると(生産するものが無くなると)次の目的地へ飛んでいく。
午前中はAゾーンで仕事をし、午後はBゾーンで仕事をし、あとはアイドルが発生している。
定時の枠のなかで、生産しようとする意図はない。
島渡りというのは、定時の枠のなかで、A島、B島、C島、D島をどのような頻度で、どのような、
コースで、島を渡っていくか(生産するか)をきめている。
渡り鳥は、生産の場ではいらない、鳥の世界だけでよい。
47.リカオンの子育て
リカオンというのは、体はそんなに大きくないのに、集団の力で、もっとおおきな獰猛な動物でも、
襲うことがある。そのリカオンの子育てが変わっている。
リカオンは数匹の雄と、数匹のメスでグループを構成する。
その数匹のメスに、序列があって、今一番強いメスをAとし、その次をB、一番弱いメスをCとして
おく。繁殖期となり、それぞれ子供を産むことになった。
ところがである。Bが産んだ子供を、Aが自分の子供もいるほら穴に運びこんだ。Bは自分の子供を
とられたかたちになるので、抵抗するが、何ともならない。
乳も張ってくるし、母性本能もあるので、何回か穴から、自分の子供を引きだそうとするが、Aによ
って虚しい抵抗となる。その内乳も出なくなる。Cも子供を産んでいたら同じ運命である。
一方、Aは、自分の子供と、Bの子供を育てるが、必ず自分の子供から、乳を与える。
食物が豊富な時は、Bの子供も育つが、食物が少ない時は、Aの子供だけは、生き延びて、Bの子供
は痩せ細ってついには死を迎える。強い子孫を残す、摂理とはいえ、凄い子育てである。
リカオンの子育て程の壮絶さはなくても、人を育てることには、それなりの努力と工夫、投資(犠
牲)がいるものであり、それが企業の発展、存続につながっていく。
48.1:100
改善班に、搬送機に小自動を組合せた移裁装置をつくるように指示した。
「こう押し出して、ここで止めて、半回転させてから、こんなふうに、引っぱり込んだら」といった
そうすると、「口で言うと、数分やけど、作る方は、1カ月仕事や」といったようなニュアンスの
発言があった。指示する人はいいな。口でいうたらええだけや。
そんな風にうけとめられたのだろうか?その話しをなんとなく、上司に話すと、
君の部下が100人いたとすると、一人に1つの事を指示しても、100日かかる。
その人にとっては、「口で言うと、数分やけど」ということになるのだろうけれど、1:100であ
るから、それでいいんだ。といってもらった。少し気が楽になった。
この1:100の話は、部下として心しておく必要がある。課長でもこんな比なのだから、役員や
社長は、凄い比である。だから個別で受けた、ちょっとした指示でも、反応して仕事を推進するよう
にしないといけない。
49.コーヒーと水
コーヒーを注文すると、必ず水がでてくる。
これは、コーヒーを飲んだあと、水を口に含み、舌を洗って、毎回新しいコーヒーの味覚を味わうた
めであるらしい。
私達の仕事も慣れてくると、マンネリ化して、新しい感覚を失ってしまうことがある。
コーヒーの間にはさむ、水の役割りをするのが自主研だと思っている。
メンバーは、他の職場の課題こ取り組み、新しい感性をみがく。更にそれが他社での改善となると、
心よい緊張感もともない、自社の、自分の、レベルを認識することにもなる。
50.「へたくそ」な訓練
1人工を与えきれないで、0.7人工程度の仕事量のままで放置していたり、手順や動作のムダを
黙認していると、「へたくそ」な訓練を続けていることになる。
1ケ月も、その状態が続くと「へたくそ」な訓練が身についてしまって、あるべき標準作業(ムダな
手順もなく、標準手持ちが決まっており、タクト内にきっちりおさまる)についてこれなくなる。
改善して、手待ちを増やした状態で放置しておくと、これまた、「へたくそ」な訓練をしていること
になる。
ゴルフと同じで、まちがったかたちでい<ら練習しても、上手くならない。悪いくせがつくだけであ
る。プロになると、悪いフォームになると、やみくもに練習するのではなく、確かな人に、コーチし
てもらって矯正する。「へたくそ」な訓練にならないようにしているのである。
私達のゴルフは遊びなので、「へたくそ」な訓練もご愛嬌であるが、仕事では「へたくそ」な訓練
にならないよう注意しなければならない。
物づくりの小話し、あれこれ 31~40
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)31~40
31.子豚の乳のみ
豚は一度に、10匹ほどの子供を生む。順番に生まれてきた子豚は、本能で母親のお乳をさがし、
吸い付いていく。乳の出は、母豚の頭側が勢いがよく、しっぽ側ほど、出が悪いらしい。
したがって、どうしても頭例の乳首を求めて争う。
しかし、もう一つの特性があって、吸いはじめて何十秒間は勢いがあるが、直ぐに出が悪くなるとい
うのである。争っているうちに、せっかくのお乳が出てこなくて、飲めないことがおこる。
それを承知しているので、その内それぞれの子豚が、自分の吸う乳首を決める。
いくら早く、母豚に接近しても、自分のその常席へ位置するのである。
子豚は、標準作業が一番効率のよい方法であることを知っている。
32.試験の問題、順序と補充
ものの造り方は2つ。順序と補充である。
順序は、試験の時に、前もって問題が判っているようなもので、日頃の勉強は楽で、個々の試験の
成績は良いが、実力はサッパリつかない。
補充は、試験の時に、何が出るか問題が一切判らず、全ての範囲について、勉強しておく必要がある。
試験の度に応用問題で鍛えられるため、実力はどんどん向上する。
便利だからといって、順序での、もの造りばかりしていると、売れの速さと関係のないところとなる
ばかりではなく、力を弱めることにもなる。
JITは、後補充といいかえてもよい。
33.改善マンの条件
問題点(ムダ)を見つける能力、見つけたムダを排除していく能力の2つが揃って改善マンである。
いろいろな仕組みは判っているが、流れを造っていけないというのは、改善マンとしては×である。
動機づけや、期待値(目標)だけを与えて、自ら、方策を示さず、手も汚さないというのも、上記と
同じで、管理者として×である。
34.くるくる寿司
仕入先へ、午後一番に入るために、途中で食事をした。うどんや定食もの、それにくるくる寿司を
している大衆食堂である。
ここで、おもしろいことを経験した。入るなり、こちらへどうぞと席を進められた。広い場所がある
のに、なぜ片側ばかりに客をよせるのだろうと思った。 .
がしばらくすると、すぐにその訳がのみこめた。
くるくるまわっているコンペァ上に切替えシャッターをつけてショートサーキットしたのである。
しかも、皿のピッチもかえ、お客の引きにあわせたのである。
当然、寿司をにぎっている人も半数抜けて、他の片付けなどの仕事をはじめた。要はリードタイム
を短縮し、仕掛かりを少な<、しかも新鮮度を維持したのである。
そのあと、もっともっとそんなことには、熱心なはずの、物づくりをしている会社が、大ロットで
在庫をもっている様をみると、寂しくなった。おっさんにまけているのである。
35.爪楊枝いれから教わること
爪楊枝がきれたので、詰め替えることにした。何度も入れ替えるのが、邪魔くさいので、おもいき
りつめるだけつめた。そうすると微動もしないから、とんと出ない。
すこし数をへらしたが、それでも何度も振らないと出てこない。ちょうどよい程度に出そうと思う
とかなりの空きが必要だ。
このようすから、在庫は一杯あるのに、必要なものがないという状況を連想した。
36.てんとう虫のこだわり
てんとう虫には、おかしな習性がある。飛び立つとき、必ず一番高い枝の先端から飛ぷのである。
枝を伝って行って、届く範囲ならまた別の枝に移り、必ず一番高い枝の先端から飛ぷ。
そのこだわりは見事である。
われわれの仕事のなかに、難しい制約条件があると、つい途中で飛び出してしまう(投げ出してし
まう)ことがないか。やれることより、やるべきことへの挑戦ということはよ<教わる。
やるべきことには、難しい課題が多い。それをやりきるには、こだわりが非常に大事な鍵のようにお
もえる。てんとう虫のこだわりは本能ではあるが、そのひたむきさは学びたいところである。
37.にわとりとエサの選別
にわとりは、食べられるものと、食べられないものをうまく選別する。
食べられない、小石や、穀物の皮などは、くちばしで、ポィと横へ跳ね飛ばす。
不良品を次工程(後工程)へ流出させている作業を見て、にわとりですら、選別できるのに、人間が
不良品を流出させているのは、とんでもないことだ……。
その戒めに、引き合いにだされた話しである。
にわとりは、しょせん選別までだが、人間は、選別しなくてもよいような、真因にせまり、対策す
ることができる。
38.つかわれ上手
「たんす、ながもち、あの子が欲しい」「この子がほしい」、数人の子供が2つのチームに分れて
相手側の子供のなかから、自分のチームに引き込みたい子供を選ぶ他愛もない、昔の選びである。
その時、かわいい子供や、力の強い子供が先に選ばれる。
そんなことが、フロジエクトでチームを編成するときに再現された。
15名の人を3チームに分ける必要があった。それぞれのリーダーに、欲しい人を順番にとりあえず
指名して下さい。その後、調整しますのでと、切りだした。
15名のうち、1人、よく仕事ができる男がいた。こちらから、見ると一番先に指名されると思っ
ていた。
1廻りしても、2廻りしても、彼の名はあがらなかった。やっと最後の方で出てきた。
「仕事はできる」のになぜ一番に指名されなかったのだろうか?
心の底までは、のぞけないが、概ねこのようなことであったらしい。
「仕事はできる」が使いにくい。チームワークがとりにくい。下手をすると、リーダーの影が薄く
なる。……というのである。
リーダーの度量によって、この人の活用度は変わってくる。
また、この人はこの人で、使われ上手にならないといけない。むつかしいものである。
「仕事はよくでき」「しかも使われ上手」そうありたいものである。
39.ヤツター・マン
なんでも、かんでも、俺がやった。それもまた俺がやった。
これをヤツターマンという。
企業活動のなかで、そうそう一人で成果を出すようなものは少ない。ひどい話になると、自分の担当
した部門の人数を倍にして、大きくし、盤石の体制をつくった。等と自慢する。
半数にして、同じ成果を出した、またはさらに大きい、アウトプットを出したのなら、大いに自慢し
てもらってもよいのであるが……。
自慢話は知恵の行き詰まり。こころしたいところである。
40.たまたまとまたまた
たまたま、きようは不良がでまして……。たまたま、設備が故障していまして……。いつもは順調
なんですが、たまたま不都合がかさなりまして……。
「たまたま」ということは、言い訳の枕言葉のように、使われることがある。
しかし、「たまたま」という現象は、「またまた」の方が多い場合がある。
また本当に「たまたま」であったとしたら、それは、「またまた」に変わる、危険信号である。
TPS(トヨタ プロダクション システム)に「たまたま」という用語はない。
新型コロナウイルス感染防止→新しい常識を築いていく(2) 初版4/7 改版8/18
新型コロナウイルス感染防止→新しい常識を築いていく(2)
日本は医療崩壊を避け人命を第一に考える政策をとりました。感防止染の抑制生活を長期にわたって行うため、感染していない人が長期にわたって未来に存在することになります
感染した人のデータが少なくなっても通常の生活には戻せません。戻すと感染していない人が多く残っているため感染が広まり医療崩壊をします。そのため長期戦です。
新しい常識の生活様式を習得する必要があります。
食品加工業界では細菌やウイルスについて常識的に日ごろから衛生管理しています
各企業にウイルス感染防止部分を応用してきたいただくと幸いです
実際の見た目として→ 「一にマスク、二に距離、三に手洗い、四に清掃、五に靴底洗い」
今までの製造業,運輸業,オフィース勤務などとしては、常識としては過剰かもしれませんが、これがこれからの新しい常識になります
まずウイルスについての知識
《 色々な注意事項がある中で 》解かりやすい説明!
ジョンズ・ホプキンス大学の感染症教授による情報を、知人が日本語に訳してくれたので参考までに。
〇ウィルスは生物ではなく、何層もの脂質(脂肪)でできた保護膜に覆われたにたんぱく質分子(DNA)です。 このウィルスが、眼・鼻または口の粘膜の細胞に付着すると、突然遺伝コードが変異し倍々方式で増え侵略します。
〇ウィルスは生物ではなくたんぱく質分子であるため殺すことはできませんが、自然に崩壊(減衰)します。ウィルスが崩壊する時間は温度、湿度、どこ(何)に付着したかにより違います。
〇本来ウィルスはとても壊れやすいのですが、脂質でできた何層もの膜に覆われていることが問題でこの脂質の保護膜を取り除く必要がでてきます。 脂質の保護膜を破壊することができる石けんや洗浄剤は有効(泡立ててこすり破壊)な訳です。破壊するためには石けんをたっぷりと泡立てて20秒以上こする必要があります。 保護膜を破壊することによりウィルスたんぱく質は自然に減衰し崩壊していきます。
〇熱は脂質を溶かします・・・25度以上の水で手や衣服、その他を洗うことが有効な理由となります。さらに暖かい水は泡がより泡立つため、より有効となります。
〇アルコールとアルコールを65%以上含むものは脂質を分解します・・・特にウィルスの外側のたんぱく質の層を分解します。
〇漂白剤(塩素)1対水5の割合でプロテイン(たんぱく質)を破壊します・・・ウィルスの内側から崩壊させます。
〇過酸化水素水は石けん、アルコール、塩素の効果を長持ちさせます・・・過酸化水素はウィルスたんぱく質を破壊します。しかし、純過酸化水素水を使用する必要があり、皮膚を傷つける可能性があることに注意が必要です。
〇殺菌剤、抗生物質は役に立ちません・・・ウィルスはバクテリアなどの生物ではないので抗生物質で殺すことはできません。
〇服やシーツ、布などを振ってはいけません(使用、未使用にかかわらず)・・・表面に張り付いた状態では不活性なので勝手に時間がたてば分解するからです。しかし、これを振ったりハタキを使用すると、最大3時間空気中にウィルスが浮遊し鼻などに付着してしまいます。
おおよその付着時間 ― 3時間生地 ― 4時間銅と木 ― 24時間段ボール ― 42時間金属 ― 72時間プラスチック
〇ウィルスは冷たい空気、寒い空間や家や車などエアコンがある場所では安定した状態で残存します。 また、湿気と暗さはウィルスの残存を促します。したがって逆に乾燥した暖かい、明るい環境は勢いを墜落させます。
〇紫外線ライトや光線はウィルスたんぱく質を破壊します。たとえば使用済みのマスクの殺菌には紫外線ライト(UVlight)を使用すると完璧です。但し、肌のコラーゲン(これもプロテイン)も破壊するので注意して下さい。
〇ウィルスは健康な肌を通り抜けることはできません。
〇酢(酢酸)は脂質の保護膜を破壊できないので有効ではありません。
〇スピリッツ、ウォッカも役に立ちません。 強いウォッカでもアルコール度数は40%です。ウィルスを破壊するには65%以上のアルコール度数が必要です。
〇アルコール65%以上のリステリンは役立ちます。
〇より狭く限られたスペースではウィルスも集中しているかもしれません。広い場所で換気がよければウィルスも少なくなります。
〇粘膜を触ったり、食べ物、鍵、ドアノブ、スイッチ、リモコン、携帯電話、時計、パソコン、机、テレビ、トイレなどを触る前にも、触った後にも手を洗わなければなりません。
〇頻繁に手を洗うことになるのでての保湿をして下さい。乾燥により生じる肌の小さなひび割れにウィルスが隠れ潜む可能性がありますから、厚めにハンドクリームを塗るのがお薦めです。
〇爪の中にウィルスが隠れるのを防ぐために、爪も短くしておきましょう。
感染防止のルール(これも仕事として行う 強制力)
1)ルールの前提
強制力が必要になるのは会社には
- 無知な子供のような人 知らない学ばない自己管理能力が無い
- 無謀な若者 因果関係の想像力欠如
- 無頓着な大人 分かっていながらしない
の感染3無が必ず、どの人の中にもいるという前提に立ちます
命に係わることなので性善説ではいけません
医者や看護師など感染3無などない人たちですが、どんなにふだんきちんとしていても、回数が多いと、つい油断して無頓着をしてしまいます
会社でいくら管理しても私生活で上記がいて感染します。そのため故意にたいしては犯罪と同等です
・虚偽申請記載は罰則→解雇、停職、減給など
・無理して頑張るは禁止→誠実な申請は賞賛
2)コロナウイルスのことを知る(敵を知る)
無知が最も怖いので知識の習得を促す
①今回のコロナウイルスの素性
②感染ルート感染力
③感染するとどのような症状がでるのか
④洗剤による洗浄,アルコール消毒,次亜塩素酸水の除去力の知識 (次亜塩素酸水関係には4種類あり、それぞれの特徴と用途)
社員にはネットによる情報提供や掲示板をいたるところで提供します
ほうとうは小集団で勉強会でも開けばよいのですが、危険です
日々コロナウイルスの研究がされているので、初期の情報は修正されていきます
日々最新の情報提供をしていきます
3)防止の考え方
人はすでに感染しているとします。そして会ってもウイルス的に会ってない状態を築きます
- 入れない 人(口と手)→物
- 伝えない 人(口)→空気→人(口と粘膜) , 人(口と手)→物→人(手)→人(口と粘膜) ,人(口と手)→人(口と粘膜)
- 除去 →付着した人と物の部分を除去
対処方法は離距離、非共有、会う前後の手の洗浄
4)行動ルール(これも業務とする)
会社としての装備(マスク,洗浄剤,アルコールまたは次亜塩素酸水,洗面所)
社員全員,訪問者,仕入れ先,常駐警備者など
①会社入り口で
・次亜塩素酸水を浸したマットの上を歩いて通おり靴底を除染
・マスク着用チェック
・検査者が検温、自己過去2週間で37.5以上あったか、無味無臭感チェック記入
・訪問者は時刻、どの部署の誰と会うか、退社時間などを記入
・手の洗浄(下記の手洗い方法を参照) 手洗い場に掲示と教える人を配置
・手もみで乾燥(エアジェットやハンカチ拭きは禁止)
ここでの注意(必ず無謀,無頓着者がいるとします)
どうせ作業で手袋するからいいのでは
いい加減な手洗い,やったふり
我慢して頑張るなど(今までの価値観が入れ替わっていない人)
・入社し着替え
②職場に入る前
・手洗い場に手洗いの方法の絵を掲示
・手の洗浄 食品加工業界並み(手のひら,手の甲,指又,手首,指,爪,洗い流しで計約2分)
・手のアルコール消毒(中性の次亜塩素酸水でもよい)
・マスク着用確認
③就業中
・休憩や昼食前にに手の洗浄と手のアルコール消毒
・休憩後に手の洗浄と手のアルコール消毒
④室内会合がある場合(飛沫感染と接触感染)
・飛沫がこもる閉鎖された部屋は禁止し、換気機能と窓を開けられる部屋を活用(通常のエアコンは外気が取り入られない)
・2メートル以上の席の配置で対面にならないように着座
・紙の資料は避けて、プロジェクタおよびファイル共有で自分のパソコンで見る
・会合時間は30分程度で区切り、全面換気
・会合後にテーブルや使用機器をアルコールまたは次亜塩素酸水で除染
・自分の身体に飛沫が少なからず付着しているかもしれないので、手洗いは必ず行う(口や目鼻を触らなければよい)
⑤昼食飲食
・昼食は6班に分けて時間差で食堂を利用し、1班は20分程度にします
・食卓は4人かけは1人、6人かけは2人で対面で座らず横に2席空けるか桂馬座りし、会話しない
・共有する食材に自分の言葉などで出る息やつばがかからないようにする
・バイキング料理はトングなど共有する方法でとらない(個人が終了まで用いるものでとる)
・テーブルの上にはコロナウイルスが在ると思って行動(触っ手にはコロナウイルスがあるが、口や粘膜に入らなければ感染は避けれる)
,⑥就業後
・職場の洗浄(アルコールまたは次亜塩素酸水) 当然食堂全体も
酸性水はさびを引き起こすため使用後にふき取り または水にもどる種類を採用
・マスク破棄(ビニール袋で回収し密閉して破棄)
・手袋は破棄または洗浄し高温乾燥または日光の紫外線を利用し殺菌
・手の洗浄と手のアルコール消毒(通勤途中や家庭に持ち込まない)
・帰宅
⑤帰宅時
・手の洗浄と手のアルコール消毒(家中に持ち込まない)
自分が出張先でも同様のことを行う。たとえ訪問先が緩いルールでも、レベルの高い方に合わす
手洗いは仕事の内、事の前と後で手洗い +ブラシ(歯ブラシ利用)で爪間の洗浄
新型コロナウイルス感染防止→新しい常識を築いていく(1)
新型コロナウイルス感染防止→新しい常識を築いていく(1)
新型コロナウイルス感染予防で企業は出張禁止や外部との打ち合わせ禁止、会議禁止など禁止ばかりして、人と人との接触を断つ方法を最初とります
3密(密閉,密集,密接)の手段で封鎖隔離を行うと感染拡大予防になりますが、ずっと続けることはできません。せいぜい2か月で、それ以上は資金繰りの悪化で会社そのものが倒産状態になり、個人も収入を断たれて極度の不安になります
今までの常識の行動ができなくなったからといって、行動そのものを止める必要はありません
そこで創意工夫です
私は少年ソフトボールの監督をしています。2月末から3月まで練習や試合を中止し、自宅で自主練習をしていただいていましたが、いかんせん元気な小学生がずっと家に居るのは親として面倒見切れず疲弊してきました。
次第に親から練習を再開してほしい連呼され、さて、どうしようかと知恵を絞りはじめました。
知恵を絞る前提として、どんなにチーム練習で感染予防しても、私生活で感染しているかもしれません。なので子供はすでに感染しているとし、①他の子供にうつさない,②感染していないと思っている自分自身もうつりたくない、としました
改善策を考案し練習前,中,後に実施し新しい常識としました。完璧とは言いませんが,さらに改善中です
リンクを貼っていますので参考にしてください
新型コロナウイルス感染防止
チームは会社 監督は社長 コーチは管理職 選手は社員 試合相手は外来者
各企業も創意工夫で新しい常識を築き、今までと同じくらいの企業活動ができるようにしていきましょう
物づくりの小話し、あれこれ 21~30
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)21~30
21.作掌時間は動作の影
作業時間とか、STとか、工数とか、色々な「時間」という数字が出てくる。一旦数値化してしま
うと、絶対視してしまうところがある。
数値は「動作」の「影」でしかない。影は「太陽」がどの位置かによって、長くなったり、短くな
ったりする。それぐらいいい加減なものだ。
影ばかり追わないで、本体の動作をよく見ることだ。数値は、座っていても知ることができるが、動
作を見ようとしたら、現場にしかない。
22.丸かいてチョン
現場を、作業者を、監督者の動きを、見るというのは根気のいるものだ。
どんな難しい職場・工程でも、一日じっくり見れば、たいていのことは見えるものだ。それが数サイ
クル見ただけで、解ったような顔をして立ら去る。
一度、丸をかいてそこにチョンと一日中立ちん坊してみるとよい。
根気がいるものだけに、なかなか実現できないと思うので、自主研にでも参加してみて行動してみる
とよい。
23.バケツ叩き
少人化ラインになっていたり、作業の授受ができると、5秒の作業改善はそのまま生かすことが出
きる。しかしそうでないところの改善は、その5秒を維持するということはなかなか難しい。
そのままにしてお<と、5秒改善しても、作業者の動きが5秒分遅くなるだけである。
作業は速くして、5秒だけ「手待ち」の状態を維持していてくれたら、よく判るのであるが…。
そのために、5秒分作業完了時に、バケツを叩いてもらうという「話し」がある。
バケツを叩いても、何の付加価値を生まない。でも薄められるよりは良いと考えたらしい。
そうすると、いつの時か「5秒分の仕事を持っていっても不満は出ない」というのである。
寂しい話しである。少人化ラインにはそんな虚しい話しはない。
24.軽快なゴロ捌き ・
人が足りないということで、ソフトポールの試合にかりだされた。「年ですから」といいながら、
内心、若い時に野球をやっていたので、自信めいたものはあった。
一塁に送球しても、まだやれそうであった。
試合が始まって、ゴロが飛んできた。自分のイメージでは十分追いつける。「しめた」と感じて、軽
く捌くつもりであった。
ところがである……。
そう球足が速いゴロとも思えなかったが、あと一歩及ばずでヒットになってしまった。
慣れも、体力も衰えていたのである。
改善も、日頃からやっておかないと、頭で理解していても、上と同じような失敗を起こす。
「若い時、俺はやったl「だから、いまだってやれる」なんて頭で考えていると、やれないのがオチ
である。
Planしたり、Checkしたりする人も、たまにはDoすることもやらなければならない。
25.わかれ道
結婚式て聞いた話である。若いカップルが、ひとまたぎ出来そうな小川の両側を、仲良く手をつな
いで歩いていた。ところが、幅が少し広くなってきて、手がつなげなくなった。
まあ、そのうち、幅が狭くなるだろうと思って、そのまま歩いていると、だんだん大きな川になって、
僅か、姿だけが見える程度になってしまった。声も届かない。
ついには、大河となり、姿も確認できなくなってしまったというのである。
夫婦の小さな溝も、放っておかず、小さい内に解決しなさいという話しである。
「一番始めの、一飛びで、相手側に渡っていたら‥‥‥」大きなわかれ道である。
この様な事例は、人生でも、企業活動の意志決定でも、よくある話しである。
そんな大きな話でなくても、生産の場でも、わかれ道がある。
「物」が一個でも動かないと、「それはおかしい」と感じるか、感じ無いかである。
「これぐらいはいい」というのと
「何とかならないか」というのとは
先程のわかれ道と同じように、大きな違いになる。
拘りの大切さもここにある。
26.現場が一番
組立の同期台車を見直し、改善することになった。コンパクトにして、足の動き、手の動きを小さ
くして、ムダ・ムリを無くそうとするのが目的である。
ある同期台車の使いがってを、観察していると、高い位置から、手を伸ばして、小さな部品を取りだ
していた。躊躇することなく、手の動きが小さくなるように、改善組に低くしてもらおうとした。
ところが、作業者から、「切断しないで下さい」という発言があった。
よく聞いてみると、「エンコパ内の組み付け作業なので、前屈みの姿勢が多い。1サイクルに1回
この小さな部品を取るとき、腰を伸ばすことになり、丁度具合がいい」というのである。
こんなことは、なかなか改善マンでは、掴みにくい。
一番よく知っているのは、現場で、毎日作業をしている人である。
作業が、今遅れているか、進み過ぎているか、部品は何箱あれば足りるか、等々、現場の人は全て
を知りつくしている。定位置停止とか部品の最大・最少表示とかのツールは、管理・監督者が使って
こそ、はじめて効果を発揮するものである。
ツールの活用とともに、大事なことは、一番よく知っている現場の意見を吸い上けることである。
やっぱり現場が一番、あんたが一番である。
27.ご破算で願いましては、
「ご破算で願いましては…」いままでの数値を払って、また計算しなおす時のソロパン用語である。
人事移動の時は、ひととき、このような気持ちになる。
いままで抱えていた課題を引継ぎ、開放感にひたれるからである。新たなところでは、またかたちの
違った課題を引継ぎ、苦労は伴うのだが‥‥‥。
プロジエクトで「ご破算で願いましては」はないだろうか?
違ったテーマであったり、戦略が異なっていればよいのだが、前プロジェクトが完全に「やりきれて
いない」のに次のプロジェクに移ることで、ご破算にしてしまうことである。
ひどいときは、同じ目的であったり、狙いであったりする。変わったのはメンバーの一部だけ。
「前の続きはどうなっているの…」
「ご破算で願いましては」は、そう度々であっては、「継続は力なり」「徹底すること」の良さがな
くなってしまう。
生産の場でも、せっかく改善し、つくった仕組みが、定着しないで崩れていくということがある。
「認識の違い」「一部はやれてもスルーでみると、守れない制約条件が多い」「仕組みそのもののま
ずさ」など、原因はあるにしても、所詮はそれらを打ち破るトータルのパワーがないということにな
る。ご破算で願いましてはでは、苦労が虚しい。やらぬ方がましですらある。
28.富士山の湧き水
富士山の麓で、湧き水を小瓶にいれて売っていた。その店で聞いた話である。
今年の水は、30年前の雪がとけて、長い長い期間、ろ過され続けて、湧き水になったというのであ
る。誰が検証したのか? 浸透圧と距離等から、学者がわりだしたのか?
伝えられている話なのか?この際、野暮なことは聞くまい。
その説によれば、今年の雪は、30年後に湧き水となり、小瓶につめられる。
湧き水の条件は「雪が降ること、」「ろ過する土壌があること」である。
この湧き水を、企業の、職場の「利益」におきかえると、30年後のことを考え、継続して行動し
ておかないと、一時期、渇水期が起こるということになる。
今、利益を生んでいるとしたら、先輩達の財産かも知れない。今利益を生んでいないとしたら、後輩
の為に、雪を降らせ、土壌を育てる、という行動をおこしておかなければならない。
まさに、継続は力なりである。
29.散歩とパトロール
現場を巡視する、点検する、作業者と交流する、管理者にとっては大切なことである。
しかし「目的」をもって、しっかり見ていかないと、ただの散歩になってしまう。
今日は、「作業者の足元をみて、安全を確認しよう」「工程間の仕掛かりを見てみよう」「作業者の
顔色をみてみよう」狙いを定めて、パトロールすると問題点がよく見える。
次の会議まで、30分隙間ができたから、現場を見に行こう。というような見方は、買物の予定も
ないのに、待ち合わせ時間を調整するため、ウインドショッピングしているみたいなものだ。
工程の流れ、についても同じで、狙いをもって見て行かないと、問題点の顕在がAboutになっ
てしまい、具現化する実施事項におきかえられない。
30.金太郎飴
「画一的で、個性の乏しい集団や思考」に対して、「金太郎飴じやあるまいし」などと悪い引き合
いにだされるが、生産の場では
「金太郎飴のように、どの断面を切っても、同じ並び方をしている」…平準化
「金太郎飴のように、どの断面を切っても、同じ絵が出てくる」…生産の流れ・標準化・工程配分と
いうように、良い例の引き合いにだされる。
金太郎飴も救われる。
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)11~20
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)11~20
11.1/100~1/1000
分母は素材から製品になるリードタイム、分子は加工時間で、その比を表している。物によっては
1/10000だってありうる。
そうすると加工時間以外は何かということになるが、運搬・検査・停滞(在庫)である。
この数字をみれば、単に加工だけの効率を求めていても駄目なことが判る。素材から完成品になり、
お客様の手に渡るまでスルーでムダをはぶいていかなければならない。
環価低減はその比を大きくすることだと言い換えて良い。
12.2:6:2
2:6:2何の数字だ。
今10人の部下がいたとしよう、部下でなくて同僚でも良い。自分に付いてきてくれる人、あるいは
同じ考え方を持っている人が2人。反対意見の人が2人。どちらでも、誰でも良いという人が6人、
世の中の相場とはその程度のものである。
2:6:2なら良いほうで、0:8:2なんて状況があるかも知れない。
マネジメントというのは、2:6:2の6の人を前側の2にもっていくかということらしい。
8:0:2になれば、あとの2の人もしぶしぶ8に近づいてくるものらしい。この数字にこだわる必
要はないが、10:0:0 なんて自惚れないことだ。そんな人はめったといない。
仕事を本気ですれば葛藤はつきもの。「好かれない人」のなかに案外本物がいるものだ。
13.岸壁に立つ
もう、「後がないと思って」「背水の陣でとりかかれ」よく聞く言葉である・しかし1押しされた
り、一回の横風を受けただけで、岸壁から真逆さまに落ちてしまうような位置へ身を置くことは、な
かなか出来るものではない。
適当な緊張感を持って立てる位置はどこなのか、それを見極めることが必要だ。その位置(目標)は
上の人がしつかり掴んでおかないと、判断を誤る。
あのショップは安定している、あのショップはよく混乱する。前者の方が良いに決まっているが、安
定しているなら、1人省人したらどうなるか?、まだ安定しているならもう1人省人したらどうなる
か?、更に1人省人したらどうなるか?‥‥。改善しない限り、いつかは混乱するレベルに至るはず
である。
安定しているのは、限りなく改善に挑戦しているか、始めから安全な位置で仕手をしているかであ
る。その位置を見極めることはかなり難しい。だから一度問題を顕在化させるレベル(1押しされる
位置)に身を置いてみることだ。
そこから、2~3押しされても良い位置へ戻せたら、それがそのショップの実力である。
それを繰り返し実施されると、本当に実力ある安定したショップだと言える。
その立っている位置、動きをよ<みて、結果だけで判断しないことだ。安全な方へ身を置きたくな
るのが人情であるだけに、目標と評価は正しくありたい。
14.競馬のゴール
競争馬の順位を見極めるには、パドックでは判らない。スタートの直後でも判らない。向こう正面
でも判らない。直接に入っても判らない。ゴール直前になると、だいたいのところはみえてくるが、
それでも確かではない。ゴールを過ぎたところでも、おおよその見当はつくが、正しくは判らない。
唯一、正しく判るのはゴールを通過する瞬間を見ている者だけである。
さらに際どい勝敗になると、ゴール真近かで見ている人しか判らない。
現地・現物の重要さはここにある。
パドックは下馬評であり、スタートや向こう正面、ゴール直前は予測であり、ゴール後は推定である。
鮮度の落ちた結果のデータは、ゴールを過ぎたところで順位の論議をしているようなものだ。
15.たこペンド
エキスパンションループ、俗称たこペンド。
これは、ガス配管工事などで、季節の温度差による熱膨張を吸収するために、蛇腹状に、丁度たこの
頭のような形で逃がしたクッションしろのことである。
その遊びがないと、夏は伸び、冬は縮んで配管に亀裂が生じてしまう。
生産の仕組みもこれに似た部分がある。JIT(ジャスト・イン・タイム)といいながらも、そう
そうきっちり繋げるものばかりでない。工程内の少しの変化はクッションしろで吸収することがある。
必要最小限のたこペンド(工程内バッファ)を設定する技術が必要である。
通常の生産の流れのなかで、このたこペンドが、やたら多かったり、大きかったり、必要なところに
無かったりして、生産を阻害している例がある。
16.エイト
ポート競技のエイトは、8人がバランスよく櫂を漕がないと、真っすぐ進まない。
一人だけ、抜群の腕力を持った人がいて、その人のべースで漕ぐと、場合によってはマイナスの働き
となって進まなかったり、横にそれたりする。
会社の仕事でも、チームワークでやらなければならないことが多い。自分の力を誇示してマイペース
で進めると優秀な人でもマイナスになることがある。
本当に優秀な人は、仲間が弱った時に2人分の力が出せる人だ。
17.野球のルール
プロ野球の試合時間が長いので、もっと短くできないかとある球団は考えた。
スリーアウトチェンジをシックスアウトでチェンジすれば交替時間が半減するという提案がでた。
でも、それでは、うまく割り切れないではないか?という意見がでた。
それにたいしては、1回だけスリーアウトにしたらどうか。いやいや試合時間を短<することが目的
なのだから、従来の9回戦を8回教にすればもっと良い。など多くの意見がだされた。
課題もあるので、次回まで各々で検討しておくように、ということで散会した。
これだけの小話しではあるが‥‥。
①リーグという集団がなければ、1つの提案として成り立つ。しかし白球団の都合だけで、やってい
けば、もう「めちゃくちゃ」になってしまう。生産でも、自分ところだけよければということで効
率を求めると前後工程や他企業に迷惑をかけることがある。
部品調達のかんばんの振れなどがその例である。
②その球団が人気、観客動員敷、資金力など、常にリーグリーダとしての実績を持つ球団であれば、
この提案も実現させる可能性はあるかも知れない。
それが、弱小でお荷物になっているような球団の提案ではテーブルにものせてもらえないだろう。
改革は偶然では生まれない。実力を積み上げている者のみ実施できる。
③交替時の選手の全力疾走、審判に対する抗議の短縮、、交替選手の準備、その他ファールポールの
処置、観客の警備体制、など常日頃から試合時間を短くするための努力を積み上げているかがまず
大切なことである。その積みあげが実力である。
生産でいえば、上記のような「生産の基本」の部分を守らないで、試合時間を短くする(効率)だけ
を求めると「めちゃくちゃ」になって混乱してしまう。
まずルール(生産の基本)をしっかり守ってから次ぎに改善・改革に進む。ルールも守れないで、
いきなり改革しようとしても決してうまく行かない。
始めの小話しのミーテイグも、いきなり改革論から入ったケースで、現状の改善努力の部分をスキッ
プしている。こんな会議もすくなくない。
18.じねんじょ(自然薯)
野生の山芋(とろろ芋)のことである。
遠い、昔の話になるが奈良の三輪山で、自然薯を堀りだした経験がある。
まず、見つけるのが大変難しい。一緒に行った方がベテランであったので、なんとか見つけることが
できた。折れないように掘り出すのがまた大変であった。
埋まっているポイントから髄分離れた拉置から掘おこし始めた。取り出した時には、とてつもない大
きな穴ができていた。
形は、市場で売っているようなすらっとした長芋でな<て、曲がりくねった頑固そうな形であったが、
粘りがあって、比べようがないほど美味しかった。
地面を、極めて用心深くみないと気ずかないが、一旦見つけて掘り起こすと、味わえない味(成果)
がそこにあった。真因にせまる行為は自然薯堀りににている、苦労するものである。
自然薯は生産の場にも埋まっている。見つける能力と得るための努力が足りないだけかも知れない。
改善にも2つの能力がいる。ムダを見つける能力と見つけたムダを排除していく能力である。
ムダを見つけられなければ、これはどうしようもない。見つけたムダを放っておくのはもっと始末が
悪い。2つの能力があってはじめて改善は進む。
ただ自然薯のようにベテランでないと、見つけられないということであっては仕事は困る。
素人でも、見つけられるようなツール(問題の顕在化)をはかることが必要であり、かんばん方式の
狙いもそこにある。
19.動くと働く
一般的な見方として、Q・C・D・Sすべてを統括している製造課長は忙しい。
毎日の生産活動もあり、スムーズに生産できているかどうかも気がかりである。
そのうえ、管理部門からは、好むと好まざるにかかわらず、色々な調査があったり、報告を要求され
たりする。さらに色々な行事、イベントが舞いこんでくる。
月次の人の手当てもいる。会議だって出なければならない。
追い立てられたような日々が過ぎていく。たとえ課長が繁忙な日であっても、予定台数は確実に生産
される。他人からも「大変ですネ」という労いの言葉もある。
しかし少し視点をかえると、自らがプラニングし実践しフォローした「仕事」があったのか?
あるいは課長にしかできない仕事はその内何だったのか?反省してみると考えこんでしまうことがあ
る。いまラインで設備トラブルがあり、ラインが停まってしまったとしよう。
さっそくラインヘ行き、応急処置を指示し復旧させることができた。これも立派な「仕事」である。
が…。現場へ課長が出てきたので、その下の職位の人が少し身をひいて指示を仰いだのかも知れない
し、課長がいなかっても、そう違わない応急処置をしていたかも知れない。
大事なのは、その事故を現認し、再発防止の手を打つことである。
そのなかで課長としてやるべきことは何かを考え行動することである。
応急処置で、ラインが動いたことで満足してしまっていないか?
製造部の課長は放っておいても、他の人が「仕事(エサ)」を与えてくれる。もういらないといって
いるのに「食え、食え」と突っ込んでくる。思いきって吐き出してしまうことだ。そして自ら「エサ」
を捜さなければならない。
本当のエサを捜す苦労はともなうが、養殖の憂き目は見ない。
仕事を与えられているレベルは「動き」かもしれない。
課題を見つけて、自ら仕事を創りだすのが、管理者の「働き」である。
20.10年後に花開<
教育というのは、速効性に乏しいので、ついつい忘れ去られていく運命にある。
忘教育期間に育った上司を持つと、不幸である。
下の人が、上司を教育するなどということは、なかなかやれないものである。心の広い人なら、「彼
の方が優れているので、教わろう」ということになるのだが‥‥‥。
そんな例は極めて少ない。知らないところを聞くということだけで、「教わる」という謙虚な姿勢は
とれないのが普通である。
今、教育したつもりでも、「花開くのは10年後」ぐらいに思って、地道に、こつこつとやってい
くのが教育である。
「生産の基本」についても、若い班長、若いスタッフに脈々と継承していこう。
その人たちが、現場の監督者に、管理者に、あるいは会社のトップになった時、もっつと大きな花を
咲かせてくれる。
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)1~10
物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)
私の尊敬する、元ダイハツ工業の小林弘司様の小話を連載していきます
1.カレーライスの注文
カレーライスの限ったことではないが、とある食堂へ行きカレーライスを注文したとしよう。しばらつして次の客が入ってきたて、その人もカレーライスを注文した。ところが出来上がってきたカレーライスは先客よりも、後から入ってきた客のテーブルに置かれた。もっと手間のかかる別の注文ならまだしも、まだしもふつうならあまり良い気はしない。急いでいる人や、気の短い人なら、不愉快さから店を出て行ってしまうかもしれない。そればかりか、もう二度とその店に行きたくないと思うかもしれない。このカレーライスを車と考えた時、順序でものを造る大切さがわかるはずである。たまたま、お客様が全国に散らばっていて、同じ店で注文していないから判らないだけである。
2.天王山トンネルの渋滞
名神の天王山トンネルの渋滞は毎度のことで、そこを通過するとき、いつも生産の停滞とダブって
しまう。
トンネルに入っていく仕掛け(造り)の速さと、トンネルを出ていく引きの速さが違うために起こる。
トンネルに入ると危険を感じるため、スピードを落としたり、車間距離を自然と長く取るためで、
通常のところとトンネル内が異タクトになってしまっているのである。
一定の速度と正しい車間距離をとっておれば渋帯はない。
どうしても、トンネル内では、スピードを落としたり、車間距離を変えることが避けられない心理と
するなら、車線を一本増やして(設備能力を上げて)タクトを合わす必要がある。
天王山トンネルほど条件が厳しくないのに、トンネルと変わらない生産をしているところがある。
前後工程でタクト差をつけているところなどはその例である。
一旦渋滞してしまうと、発進・停止の繰り返し(チョコ停)で、余分な停滞が起こる。
3.トンネルを越えると雪国だった
トンネルを越えると雪国だった、川端小説の有名な一節であるが、これに似たようなことが、我々
の企業活動にある。今長い山間のトンネルがあったとしよう。
入る時の風景は、花が咲き乱れ、新緑豊かで、のどかな日差しがおちていた。
しかし長い長いトンネルは、ら旋状に登っていて、その長いトンネルを抜け出た時は、白い雪一色で
厳しい山間を走っており、外の景色はまったく変わっていた。
一旦トンネルに入ってしまうと、外の景色は全く見えない。また山を登っていることさえ気づかな
い。外の風景が周辺を取り巻く環境だとすると、その違いに戸惑うだけである。
ちょうどトンネルのような仕事の進め方(繁忙の中に埋没していたり、企業内活動に留まり外部指向
が出来ていない)をすると、外の景色の変化にきずかずに的を外して仕事をしていたことになる。
トンネル内での仕事だけは避けなければならない。仮にひとときトンネルのような仕事に従事しなけ
ればならないとしても、厳しくなる条件の心がまえと準備が出来ていればトンネルを抜けだした時の
変化に驚くことはない。
4.鰯と鯖(鯰)
海に出て、生きた鰯を持ち帰るには、生け捕った鰯の入ったかますに鰯より強い鯖(鯰であったり
する)を入れておくと、食べられてはいけない緊張感から逃げ惑い、港まで持ち帰れるという。
鰯だけだと緊張感もなく、狭いところへいれられて白い腹をだして浮いてしまう。
人を鰯にたとえるのは心苦しいが、鯖というインパクトを与えることも時には必要だ。緊急時(どう
しても今回は生きた鰯を持ち帰りたい)は鯖の役割を管理者や経営者はやらなければならない。
鰯を追い立てられる強さを持つ鯖でなければその役割をはたせない。
5.指揮捧(タクト)と美しいメロディ
オーケストラの一糸乱れぬメロディは美しくしかもダイナミックである。ところが各々の演奏者が
思い思いの速さで演奏したら、流れるような美しいメロディは誕生しない。へたをすると音合わせの
ような雑音にすら聞こえるかも知れない。
生産もそうであって、各々の演奏者(各々の工程)が好きな様に物づくりをしていると、造り過ぎ
たり足らなかったりするはずである。美しき流れは出来ない。
指揮棒のことをタクトと呼ぷ。生産のタクトタイムもここからきている。指揮棒(タクト)に合わせ
て演奏(生産)しているから、美しい流れができる。
タクトタイムにこだわる理由である。
6.激流に生きる
予測しない洪水に見舞われ、激流を渡って安全な場所に避難しようとして、大勢の人が群がった。
ある人は家財道具一式、持てるものは手一杯に、着るものは着れるだけ着込んで渡ろうとした。
またある人は身一つで渡ろうとしている。
身一つの人は、身軽なだけに渡ることが容易であり、いち早く安全な場所に避難することが出来た。
ところが、前者の人は、荷物が多いだけに動きが緩慢で渡るスピードも遅い。
家財を捨て、荷物を捨て、着ているものも捨て悪戦苦闘した。しかし激流の速さに敗けて、身おも流
されることになってしまった。
予測も難しい激流(不況)を渡るにはまず身軽になることだ。いま何が一番大切なものかを認識し
、決断・実践した人だけが、安全な場所を求めることができる。
7.チベットの山羊
伝へ聞いた話しであるが、チベットの山羊は際立った岸壁の岩場に立ち生息する。
すこし登っては振り返り、また少し登っては振り返る。
前を向かずに、いつも過去を振り返っているような人の代名詞で使われているのだが、チベットの山
羊だけにはなりたくないものである。
8.水泳と陸上のリレー
水泳のタッチは点である。それに比べると陸上のリレーは、バトンタッチゾーンがもうけられてい
る。そのリレーをうまくやることで、少し弱いチームであっても勝者になることがある。
タッチゾーンがあることで、前走者とスピードを合わせたり、前走者と次走者の力関係を補完し合う
ことができる。
組織がいくらしっかりしていても、なかなか水泳のリレーのような仕事の引継ぎはむつかしい。
自分の仕事のスパーン+アルファの業務行動が必要だ。アルファを持たない人はセクショナリズム
が強い人ということになる。
力のない人は95m、力のある人は105m走ることができる。しかし力のない人もはじめから、
95mと思って走っているようだと話しにならない。あくまで100mの自分の責任分担は果たそう
としなければならない。結果として95mだったり、98mだったりするだけだ。
次走者が更に弱い人であれば、その人が105m走ることだってある。
9.猿まねと工夫
企業内の開発や創意工夫というのは、営利を目的とする粋がある限り、そうそう新しい材料や開発
工法が出てくるわけでもない。
またある企業だけが「車づ<リ」をしているわけでもなく、どの企業もどのセクションも、なんとか
安くて、良いものを、できるだけ速<と願って活動している。
そう考えると、9割は猿まねで良い。真似ることは「恥」ではない、一番効率のよい技術吸収策であ
る。ただ全部真似ているようでは、その相手に勝つことは無理だ。1割は独自の工夫がいる。
自分の領域に閉じこもって「自分たちが、あるいは自分が一番すばらしい」と思っていることが一
番恐ろしい。真似る努力もしないで、改革・開発・工夫を唱えているばかりだと始末が悪い。
まず周辺をよく見て、百聞<一見、百見<一行、の姿勢で「良いことは素直に取り入れる」ことから
はじめなくてはいけない。
10.町内運動会
上には上がいるものだ。町内運動会で一番足が速いといっても、府の大会や国体では、とんと歯が
立たない。国際レベルになると、日本一であっても入賞すらしない。あ~あ気が遠くなるほど上には
上がいるもんだ。わがダイハツの陸上部の女子達は別にして、ダイハツで第一人者と言われる人が、
世間でどれだけ通用するか、活躍できるかである。
ダイハツという看板を背負っていたため、あるいは組織の中の一人として通用しているだけかも知
れない。そう思うと恐ろしい。
まず「たいしたことない」という認識に立って(卑屈になれということではない)弛まなく通用して
いく力を養なって行くことだ。そして時折、世間のレベルに挑戦する機会をつくって他流試合をやれ
るといいのだが…。
そんな風に考えると、「いばったリ」「過信したり」なんてとんでもないことだ。