高速道路の渋滞

著者: エイム研究所 矢野 弘

テレビのニュースでゴールデンウイークや盆休みの帰省で『~~高速道~~インターから50km渋滞!』と、いつものように写したし出している。渋滞に巻き込まれている人もテレビを見ている人も、なんとかならないのかといつも思う。最近、ETCという料金所の自動改札みたいな物が登場してきたが一向に広まる気配がない。

 

ユーザー側や道路公団側の双方向とも、経済的メリットが無いのが広まらない大きな理由のひとつではあるが、私としてはETCが唯一の渋滞の解決策としていることが、そもそもの間違いであると思う。では、どうやって解決すればよいのでしょうか?

 

道路上に渋滞しているのを見て、
『車線を増やせば解消するのではと・・・しかし、かなりのコストがかかるなー!』
 しかし良く見てみると道路の車線を増やして4車線にしても、渋滞している原因は料金所であったりするので渋滞は解消されない。
『それでは料金所を増やしては・・・』

 

土地も人も必要になるし、さらに良く見ると料金所の先の信号で混んでいる場合があるため、これもむつかしい。テレビでは道路上の渋滞の現象しか見えず原因はよーく見ないと分からないのです。
 つまりネックを改善しないかぎり渋滞は解消されないし、ネックを改善しても次のネックでまた渋滞してしまうのです。

 私がある渋滞する料金所で観測した状況をシミュレートしてみましょう

 

・車が高速道路を通る通行量は        : 1秒/台(1時間で3600台)
・車がこの料金所に降りる比率        : 50%(都市入り口の人気のインター)
・よってこの料金所に降りるペースは     : 2秒/台(1時間で1800台)
   料金所の数   : 8ブース
   1台の処理時間 : 17秒/台(改札・清算・車の出入)
・料金所の処理能力は             :2.125秒/台(1時間で1690台)


<通行量と処理能力>

処理能力負け分で1時間に110台溜まっていくことになる。たかが知れていると思いがちだが、110台はインター内とインター入り口付近まで納まるが、次第に本線まで溜まり始める。 渋滞しだすと追い越し車線に入り少しでも前に行こうとするセッカチ者がいるため、追越し車線から割り込もうとして止まり、料金所に降りない車も渋滞し始める。それも1秒/台(1時間で3600台)の早さで!!!


<溜まっていく状態>

・渋滞している車のピッチ           :9m(車線変更したいので、車長+4m)
・渋滞長 (通る車-処理台数)×車のピッチ/2車線
  1時間目:110台はインター内とインター入り口にたまるので=0km
  2時間目: (3600台-1690台)×9mピッチ/2車線= 8600m( 8.6km)
  4時間目:(10800台-5070台)×9mピッチ/2車線=26000m(26km)
  6時間目:(18000台-8000台)×9mピッチ/2車線=43000m(43km)

 

なんと6時間で43kmも渋滞してしまうのです。たった2秒に対して2.125秒の6%ぐらいしか処理能力が負けてないのに!
そう思うと、渋滞対策に高額でインフラ整備に時間もかかるETCシステムを構築するのは得策ではないような気がする。

 

それでは私のIE的志しで次の策をやりたい。
 先ず気現状の料金所の動作を観察してみると2人作業で、
 ①カードを受取り改札機に入れる: 2秒(この時、見込みでお金ももらっている)
 ②料金表示されるまで待つ    : 2秒
 ③おつりの清算と領収書を渡す : 7秒(おつりは5秒+ドライバがつかむ2秒)
 ④次の車が入れ代わるまで待つ: 6秒(おつりを納める3秒+発進1.5秒+次が来る1.5秒)
 合計でサイクルタイムは 17秒になる。

 

現在の料金所の機械は作業がシリアルにしか出来ないようになっているため、いくら人を入れても早くならない。ラッシュの時は2人が入り処理するが渋滞の割りにとても暇そうである。そこで①と②を清算の1歩手前でドライバー自らカードを入れる所を設けると③とパラレルにできるようになるためサイクルタイムは13秒となり渋滞は軽く解消される。さらに1人でできるので省人にもなる。せめてラッシュの時は乗用車がほとんとであるため、せめて乗用車用だけでもカード入れ口を設けてほしい。ETCシステムよりずっと安くて信頼性もあり早く実現すると思う。

 

ようは目的は渋滞を解消したいのであるからいっきに自働化するのではなく、まず
 1)現象に捕らわれずネックを見つける。
   (道路が混んでいるので車線数・・・料金所が原因かも?・・いや!後の信号かもしれない)
 2)ネックの大きさを分析する。(タクトタイムとサイクルタイムを知る)
 3)タクトタイム以下になるまでムダを取る。
 4)検証する。(成果は17秒が13秒になるが効果として渋滞が解消されたのか)
 5)次のネックを見つけ目的を達成するまで執着心を持ちムダを取る。

 

目的を達成する手段はいくらでもあるが結局、担当する人の利害的な志しで手段を選ぶため、ままならない・・・。無料にすると渋滞は解消されるかな・・・。

 

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