これからは「ムダの活用」である

著者: エイム研究所 矢野 弘

今まで、「ムダ取り」とか「ムダの排除」など無駄を取り除くことを善しとしてきた。しかし、取り除いたムダの扱い方によっては、結果が善いことにもなるし、悪いことにもなる。生産性が上がることで原価低減を首切りである人員整理に変えると、効果としては原価低減で儲かったことになるかもしれないが、首を切られた人にとっては本当の首吊りでもしたくなるような事態になる。

 設備にしても在庫にしても不要になって、いわゆる整理、昔でいうと「捨てること」をすると効果は固定資産の削減や在庫削減となり金利や税金の負担低減、さらにスペースの低減となるので原価低減となるが、捨てることで廃棄物となり環境汚染につながっていく。

 

改善活動としては最後の最後まで「善」の追求をして行かなければ改善とはいえない。もしかすると最後はなく循環して行くことになるかもしれない。循環のサイクルを創ることでムダがムダでなくなり全てが「活きる」状態になる。

 首切りをするのではなく、せっかく身についた技能,知識を別で活かして売上を上げる方向につなげたり、いままでやりたかったが人材不足でできなかったことをローテーションをして活人できるように配置転換したりすることが改善である。

 

余った設備は保全したり、シリンダの一本でも追加して、ちょっとした自働化をして別の手作業ラインに活用したり、分解して部品取りして部品で活かすようにする。また、売れ残った製品は分解して部品や材料にして再び活きた製品にしていくことを行う。

 志しをもう一段ほど高くして改善に取りかかってほしい。このことを「ムダの活用」といいたい。この世はムダだらけであるが、変えていくことでムダが活きてくる。

 

「それをムダと思うか」の意識
「ムダを見つける」ための力
「ムダを直ぐに取り除く」ための行動力
「ムダを取り除く」ための技術
「ムダを効果に換える」ためのマネジメント力
「ムダが生まれないようにする」ための仕組みの発想
「ムダを活かす」ための志し
これらの活動を行うための人創り

やっぱり「ものづくりは人づくり」だな~と感じる。

 

目標数値も重要であるが、そればかりであると継続性がなく、人の顔も「ガメツイ顔」に変わってくる。3年もすると疲れて6年もすると直ぐに首を切る経営者が生まれ、崩壊の道を歩む。
どのような行いをしたかの、行いの部分に志しが有り、人は志しに集まりついていく。

人が集まるところに利と徳が集まる。

 

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