2007年問題と技術技能の伝承

著者: エイム研究所 矢野 弘

2007年問題=技術技能の伝承問題として団塊の世代の話題がでてくるが、すでに現役を離れて伝承は終わっている会社がほとんどである。どちらかというと時代に関係なく後継者の育成問題である。日本の人口比率を見ると確かにピラミッド型ではなく、くびれた部分と少子化はでてきている。
 昔と同じ状態に復元しようとすると問題かもしれないが、生まれたときには景気が良くて多く生まれ、就職する段階になると不景気で就職難、さらに定年退職するときは景気が良くて人材不足で辞めないでくれと状況が変わり、人材の需要と供給のズレは出てきて当然である。

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いつの時代も技能技術の伝承に苦労するが後継者不足ではなく欠如になった原因は人口構成ではなく

 

・派遣社員の増加と継続(正社員は定年で辞めていき、入るのは派遣社員)
・外注委託しつづける(技能技術も委託し社内の高スキル者は定年で辞めていく)
・多量採用してその後採用を控える(売れる量が徐々に減ってきた)
・売れ続ける製品(モデルチェンジもなく技術者育成を怠る)
・給料の高い人(高いスキル)の首切りで教える人の不足
・技術の切り換え(プログラミング言語の変化、古い技術に誰も振り向かない)
・技術の硬直(変えてはいけない聖域をつくる。社内規格化)
・製品とともに細る技術技能(そろばん製造,伝統工芸品化)など

 

ものづくりのコンサルタントをしていると、このような経営者の舵取りミスに対面する。

今の利益のみを考えると、どれも経費節減としては魅力があるが麻薬のようなものでやり続けると全体をじわりじわりと蝕むようになる。

一度はどの企業も体験していて痛い目にあっていると思う。早めに気づけば麻疹のようなもので免疫が出来てくる。

今後のコラムには免疫が出来た会社や免疫をつくっている会社を取材してきましたので紹介します。普段は情熱的に仕事をしているので真剣な表情だが、2007年問題をぶっ飛ばしているみなさんの笑顔を見てください

 

 

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