七つの第一(3/4)

著者: エイム研究所 矢野 弘

七つの大切に行うこと

いろいろ優先しなければならない場面があります。その時々の対処法でいくと、会社はどこに行ってしまうのか分かりません。はまり込んでしまうと抜け出せなくなり、結果さえ良ければ悪いことでもよいという不正が横行し始めます。

仕事への取り組みを正しくしないと、会社そのものを整理されてしまいます。

 

1.人は健康第一

 風邪など病気のまま仕事をすると思考能力が落ちるし、体の動きも鈍くなる。作業をすると機械に挟まれたり、物を落としたりして怪我をする。判定ミスをして不良をつくったりもする。職場を元気にするには、まず体の健康からです。


●休むのも仕事のうち上手に休むのも仕事上手

 我慢して会社に行くことは「体の我慢」です。体がさらに悪くなると自分のことしか考えられなくなる。その状態で会社のことを考えると善い考えや決断はできない。身近なのが虫歯の痛みです。歯が痛いと何も考えられなくなるし、行動もぎこちない。
我慢して仕事をしている姿は見るに耐えられず、周りに気を遣わせる。どうしてもやらなければならない事があっても、会社を休むと「気持ちの我慢」をすることになる。みんなに迷惑をかけた、という気持ちを持つことが大切です。体が元気になった時には、反動で素晴らしい決断と行動ができるようになる。
 病は気からというが、病になってしまったら、気でごまかさずに、素直に治すことに専念しましょう。

 

2.作業は安全第一

 自分の身を危険にさらしてでも生産性を上げ、品質の確保をするのは日本にはないと信じたい。もしあったとしたならば、長く続けると社員は誰一人いなくなり会社は成り立たなくなる。
 事故を起こしてしまうと生産もできなくなるし、当然、品質どころではない。生産を開始する時の作業は、安全を第一として進めることが大切です。

●怪我をする人は生産性を気にする人

 機械の中に、つい手を突っ込んでしまう人は製品が不良になってはいけないとか機械が壊れてはいけないという前向きな人が、その瞬間に手を入れてしまい怪我をする。また工事現場では先端など要(かなめ)の場所が一番危険です。
 要(かなめ)の仕事に携わる人は仕事ができる人です。それゆえ災害に遭いやすい。普段なんとも思っていない人や仕事ができない人は手を入れることをしないし、先端の仕事
もさせてもらえない。だから怪我をしない。

 

●止(と)める、止(や)めるが安全の確保

 仕事をするとき、特に現場では物と設備と人が情報で組み合わされて行動していく。お互いが接触する部分には必ず危険がある。接触さえなければ危険は減るので、安全の確保のためにカバー,柵,遠隔操作など、人と接触を避ける対策が取られる。
 危険そのものをなくさずに被害の程度を下げるのに、ヘルメット、安全靴、メガネなど保護具を身に着ける。道路では交差点事故を止めるために立体交差にしたり、踏切事故を止めるために高架橋にしたり、交わらないように技術を駆使する。

●技術を過信すると被害を大きくする

 健康な体で仕事を開始しても、どんなに自分自身で安全に気をつけても、高い技術力を駆使しても、人は必ず危険な状態に入っていく。
 例えば、土木技術は世界一です。ゆえに海の堤防を高くできる。これはヘルメットや安全靴を身に着けるのと同じで、危険がなくなったわけではない。防具が良くなればなるほど、人は危険な場所でも平気と思うようになる。
 堤防を信じてしまうと、海岸に近い所に住んだり、仕事場を設けるようになる。大丈夫と思っている時に想定外の津波がくると、より被害は大きくなる。昔は技術がないので堤防が低くなり、それゆえ高台に住むことを選択していた。
 危険そのものをなくしていく技術と、身を危険から防ぐ技術は異なります。決して防ぐ技術に過信してはいけません。

 

3.物は品質第一

 品質には感動の品質、普通の品質、クレームとある。お客さまの品質感覚はこの間を行き来する。高級ブランド品は買う時や持っているだけで、感動(自慢)を与えてくれるので、それに相当する物の品質をつくらなければブランドを保つことはできない。
 家電などの液晶テレビは、どのメーカーも似たり寄ったりなので、当たり前の品質を要求される。画面のきれいさは当然で、録画機能もないと今では機能不足として選択されなくなる。買った後でも当然付いていると思っている機能がなければ返品してくる。
 さらに、図面や標準に外れた物が不良となるのは当然です。

品質評価

●割れ窓理論(10倍の意識)

 建物の窓ガラスで1枚割れたまま放っておくと、次々割られていく。良品率が99.9%と、ほどほど良いと思った瞬間に不良はすぐに10倍に膨れあがる。また良品率が99.9%と99.99%の差をイメージしてほしい。差は0.09%で、ごくわずかの差であるように感じる。 しかし99.99%では一人の手直しで済むに、99.9%では10 人必要となる。市場クレー
ムでは10倍のクレームに対応しなければならない。取り組みは、どんなに小さな不良でも見つける行為が大切です。

●10倍の精度で行動

 例えば、機械加工した部品で精度が0.01ミリを要求しているものでは、測定具は0.001ミリで測定できる器具を使わないと判定することはできないのです。

 

 

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