目標と経営効果(成果と効果の違い)

著者: エイム研究所 矢野 弘

<企業の年度目標>
 各企業は赤字だろうが黒字だろうが毎年、1年間で獲得したい利益の目標値を立てる。各部門はこれに従って部門別の目標値を立てるが、会社の方針は1年間の通して目標値を立てるのに、各部門は1年後の値としてそれを受け止めてしまうことがよくある。というより殆どである。

 

<個別の目標 >
例えば、会社方針としては利益を2億円上げたいとすると、いろいろな原価にこの数値を振り分けるのではあるが、生産部門の原価としては20%下げると計算で出てきたと しよう。この数値をさらにいろいろな指標に分解していく。労務費では原価の構成からして半分にしなければいけないと『生産性は100%の向上』と意気込む。この辺から勘違いが始まる。どの指標も同じではあるが一般的に目標達成までの計画としては下図の赤色の様に線を引く。そして、目標の達成の状況として下のように3通りがある。2014718163419.jpg<成果は達成するが効果が違う>
 普通、目標に対してうまく仕事が進んだ場合①のようになる。これぐらい綺麗に計画通り進むとすばらしい事ではあるが、実際に1年間を通して得た累計の利益(儲け)は、三角形の面積になるので半分の50%になる。
 成果は100点だが効果は50点となる。

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こんどは、②のように計画より遅れ、終わりごろになって『上司に怒られると大変だ!』ということで年度末に一生懸命がんばり目標達成する不届き者もいる。たしかにこれも目標は達成している。しかし、これだと1年間を通して得た利益は先ほどの①の達成状況と比較して1/10になってしまう。成果は100点だが効果は5点以下である。

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これとは逆に、③のように年度始めに一気にやってしまって目標を達成した場合、得た利益はまるまる1年間通して利益を得ることができる。つまり100%の効果を得ることができる。先ほどの②と比べて20倍の差になってしまう。
 成果も100点,効果も100点である。

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<努力と成果>
それでは先ほどの3通りと比較して目標達成までの努力・労力・投資はどうなのかを比較すると、いつ実施しようが結局はそこまでやらないといけないので同じなである。待てば幸運がやってきて、もっと簡単にできるかといえば、そんな都合のいい話は無い。
 どうせやるなら早くやることで同じ投資(お金,手間,知恵)でも20倍の効果で大きな利益を得ることができる。経営はスピードだとよく言われるけど、つまりこのことなのである。

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<目標の設定・・時期と値>
 そうすると実際の個別の部門の目標値はどのように立てればいいのでしょうか。
会社方針はあくまでも効果目標として立てている。そうすると各部門の目標は①の曲線で改善を進めていくとすると目標値は会社目標の2倍で設定しなければ、1年間で得れる効果(儲け)は達成されない。
 もし、予定より遅れると、途中で当初の目標より高く修正しないと累計で挽回できないことになる。

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