●競争の方法
まず、今後どんな風な会社(文化)になるかです。見る方向が3通りあります
企業は一見競争しているように見えていますが、では誰と競争しているのか。
1)最低の競争
同業者を競争相手とする方法。これを選択すると、単なるコストダウン競争になります。これはテレビやパソコンと同様な自滅の運命を迎えます。一時的に大きな売り上げと利益が出ますが長く続きません。
安くしないと売れないので相手よりもっと安くとか、相手と同じ商品もほしい、など、子供のように「友達が持っている、オモチャをほしがる子供」と同じことを企業がやってしまうことです。
親もどうせ買うなら安いのを探します。オモチャその物が欲しいのではなく、友達との差を無くしたい意識です。企業だとお客様を見ずに、ライバルや製品や記事(数字,台数,シェアの目標値と実績)ばかり見てマーケティングする方法です。
エスカレートすると悪いことをしてでも目標を達成しようとする文化になります。
2)まずまずの競争
お客様の要望にどれだけ応えていくかのお客さまとの争いです。売り上げは確実に上がります。しかしこれがエスカレートするとお客様のわがまままで商品化してしまうので品番数がとても多くなり、儲かりません。いつもお客様に振り回されます。
お客様は神様としたやり方ではバブルのときの発想と同じになり、少し不景気になると売り上げが落ちるのが怖いので、カタログから商品を消すこともできず、多くの品番だけ残り原価高のまま、利益がでにくい体質になります。仕入れ先も道連れになります。
3)最も良い競争
自分の過去との競争です。新商品を出した時に過去の商品が売れなくなると新商品は成功です。過去の商品が売れると新商品は失敗です。常に自分の過去の商品を陳腐化させるくらい変化をかけていくので、同業者を見る必要はありません。お客様も当然見ますが、神様にはしまん。
どうしてもお客様が過去の商品が欲しいといっても売りません。これくらい新商品に力を入れて開発や製造にかかります。覚悟が上の2つの競争とは全く異なります。これは過去の経験を次に活かすことになります。
「どんな物を開発するかという勇気(決断)」より「過去の商品を売らないという決断」の方がとても勇気が必要です。最も、人に求めるのがこれです。
大都市をより活性化しよとすると、過去に作ったインフラや建物が阻害要因になります。都市再生は「移転、破壊、構築」のを行わないといけないのと同じく企業も自分の過去の良いと思った部分の破壊が必要です。
ソニーやシャープも創業時はチャレンジしてお客様指向だったが、いつのまにか同業者との競争の経営に明け暮れるようになり以前より衰退しています。
同業者との競争で勝てば大きなシェアや売り上げや利益を得て一番になることができます。しかしこの一番が衰退の始まりとなるのです。一番になると一番を維持する思考や行動に働くため、いつも勝つことしか考えなくなります。
とくに同業者の動向が最も気になり「最低の競争」をし始めます。一番を守るための守り経営といってよいでしょう。
ゲーム業界のプレイステーションとDSの同業者同士の争いの最中に携帯電話でゲームを楽しむようになり、いつのまにか同業者でないスマホに人々は移ってきました。同様に何十万円もする車のナビゲーションも同業者同士でコストダウ競争していたら同業者でないスマホに人々は移っていました。
どちらも携帯電話で本体のコストは払っているので、ゲーム機器の機能はタダ
で付いてきている感覚です。いくら同業者で価格競争してもタダにはかないません。ゲーム業界もナビゲーション業界も機器のシェア競争に明け暮れている間にコンテンツの機器は移り変わってきました。今後、ゲームもナビも存在していくのですが、特に機器は次の器に移植されていくでしょう。
今までのものを同業者より単に良くするとか安くするだけでは生き残れないのです。そのことに気づいていない経営者はタイミングを失い、急速なリストラをしなければならない時期になってきました。
さて、自動車業界も同様に訪れます。現在のトヨタ,日産,ホンダ,ワーゲン,現代自動車,GM,ルノー,ホンダ,スズキなどはどの競争タイプでしょうか?
3通りに共通する戦術があります。それはリードタイムです。生産段階のマーケティングから商品開発,生産準備,量産化までの速度と、生産過程の受注から仕入れ,生産,物流のリードタイムです。これがお客様から見て短く感じると2)と3)は実現可能です。
どんなに良い商品を企画しても安くできても、市場投入までの期間が長いと(タイミングを逃す)後の祭で売れません。事はタイミング第一です。私が「リードタイム経営」を唱えているのがこの戦術部分です。
商品や設備は見えて真似もできますが、これは見えないし、文化となるため真似もしにくいので独歩状態になります。私が指導している製材会社はこの考えで改善を進めて結果として売り上げは不景気に左右されずに右肩上がりです。
競業他社は一切見ません。同業者は多量生産のコストダウンで儲けようとして自滅しています。他社が勝手に自滅するので注文が勝手に寄ってきます。売り込みもほとんどしません。上位の企業が自滅していくので勝手に業界の順位が上がっています。
別に順位目標や売り上げ目標など立てていません。また、こだわりとして当然完成品在庫は持たず受注生産に徹しています。さらに特別な特徴がありますが、これは会ってお話します。未来工業という会社もこれに近い状態です。
変化が激しいので在庫は死産になります。どんなに安く作っても売れなければ高くつきます。