整理整頓を5Mという考え方でやってみましょう(その2)
・マン、:人
・マシン :設備
・マテイリアル:物
・メソッド :方法
・メジャ-メント:物差し(指標)
次にメソッドについてのムリやムダのお話しをします
代表的なのは「標準」です
--秘伝の標準--
ある会社の職場で金属の焼きバメをする工程がありました
穴側の部品を加熱して穴の径を大きくし軸側を入れます
この時に液体を穴の周囲に塗っていました
何を塗っているのですかと聞くと、容器を差し出して「これです」
何ですかと尋ねると「前の担当が継ぎ足していたので、同じものを補充しています」
何の為に塗るのですかと尋ねると、「前の担当が塗っていたので、そのままやっています」とのこと
前の担当に聞くと「さらに前の担当が塗っていましたので昔からです」という答え
20年以上も前から塗っていて秘伝のタレ状態です
「なぜ」を答えてくれる人は誰ですかと聞くと「既に役員になっている人です」とのこと
電話を掛けて聞くと「昔は加工精度が悪かったので、気密性を得るのにシール材として塗った」とのこと
「今はNC制御で加工精度が良いので必要無いかも」と
やめました
--厳しい検査標準--
自動車部品のガスケットリングを自動機で作り、検査ゲージで良否の判定をしていました
検査は外注で検査個数で賃金が得られる歩合制でした
外注の検査から帰った物をみると20%くらい不良でした
実際の不良として戻ってきた物を測定すると、ほとんど良品でした
不良がどんなに多くても外注は検査賃は貰えるので、さらにもし不良を通してしまうと仕事が無くなるかもしれないので、過剰品質で検査していました
ゲージを測定すると設計の公差より厳しい寸法で作成してあったため、図面上の寸法に対しては良品でも、ゲージ検査では不良になるようになっていました
なぜゲージを設計よりきびしくしているのですかと尋ねると、「製造でバラツキがあるので、ゲージはより設計値より厳しくしている」とのこと
ゲージを作り直しました
さらに、設計値をみると、実際に車に組み付けたときに、こんなきつい公差は必要ないのではないかと
ガスケットリングは柔らかく、指でいくらでも変形してしまうし、車に組み付けた場合、はめ込みになじんで入るし、締めつけでつぶれて変形してしまうので、公差は2倍に広げても良いのではと尋ねると
設計者も当初、そのように思ったのですが、「昔昔に最初に設計した人が、公差をきつくしてしまい、モデルチェンジで今さら変更はできない」と
--秘伝の検査項目--
市場や後工程で不良があると、とりあえず製造はその不良に対して検査を追加します
検査の標準はこうして増加していきます
不良が出なくなっても、心配なので項目は削除しません
モデルチェンジをしても検査項目だけが標準として引き継がれ、もくもくと検査をします
だれも「やめろ」とは怖いので言いません
データをとって工程能力指数Cpを計算して1.33や1.67や2になって確率上は良くても、怖いので省きません
検査項目を追加するのは製造技術が率先して標準をつくり追加しますが、省くのはデータを分析・解析する品質保障部門か生産技術部門です
検査項目がどんなに増えても品質保障部門や生産技術部門の仕事は増えません
減らすときに減らすための仕事をしないといけないので品質保障部門や生産技術部門の仕事は増加します
やがて「何の為にこの検査項目があるのですか」と尋ねると「前の人がやってて昔からです」とこたえるようになる
時が経つと、だれも省くのに手をつけなくなる
そこで私が喝!!!