著者: エイム研究所 矢野 弘
●平準化を行う目的
平準化とは品番と数量を平均化することである。具体的な考え方は下の表のようにすると日々の合計数量も同じようになり、また品番ごとにみても毎日同じ量になっていくる。そうすることによって設備,人員,材料をピークで準備する必要がないので最も少ない状態にでき資金繰りからみても、一度に多くのお金を必要としない。
設備や人はいったん投資してしまうと経理上は固定となるために変化に融通性がなくなる。そのためピークに対しての大きな投資は控えたいので、平準化ということが必要になる。しかし、後工程のお客さんは毎日コンスタントに買ってくれるとは限らないのでなかなか平準化はむつかしい。
特に、メーカー的なお客さんの場合は、よくまとめて買う素性の悪いお客さんがいる。たとえば1枚の注文伝票で数千個,数万個といった数量で、なおかつ、あるひとつの納期で注文をしてくる。その日にすべての部品や人,設備が揃えてつくれればよいのであるが、そのようなことはできない。
これを日割りにして注文書を出すとなると発注する購買や、それを受け取る営業は事務作業が頻繁になる。そのため自分の手間の都合だけ考えて実施をしない場合が多い。(メーカー関係の購買や営業は実際に物を触らない部署がまとめ買いをする)
例えば、月の初めに部品をすべてそろえておいて、徐々に使う(生産する)ような会社もある。そうすると部品をつくる側は月末に全て集中してしまい。そのまた前工程の材料メーカーも月の始めに集中すし、連鎖反応をする。
このような受発注の形態のまま平準化してみると、納品日は決められた日なので伝票の納期から見ると前もって少しずつ、つくることになる。これでは売れるまで在庫で溜まめることになり、ジャストインタイムではないのではないかと思いたくなる。伝票の納期を守ることをジャストインタイムと勘違いしてる。
●市場は平準化している
この現象から見ると平準化とジャストにタイムは裏腹の関係にあるように見える。しかし、それはお客さんの伝票という納期から見た話である。実際に物からみると買い方と使い方に大きな差があったり、さらにお客さんのお客さんからみると時間的に単にまとめていたりするものである。
お客さんのお客さんというぐあいに最後まで行くとエンドユーザーという市場の消費者にやってくる。エンドユーザーの購買の素性はメーカーとは異なり月末に集中して買うようなことはない。エンドユーザーという個人は毎日何かを少しずつ買っているので、平準化に近くなる。
携帯電話や自動車など月末に集中して買うわけではない。ましてやロットで買わない。毎日どこかで誰かが1個づつ購入するので市場は平準化状態なのである。このことを「エンドユーザー平準化の法則」という
この法則が分かっていると途中にまとめて買うようなお客さんがいる場合でも市場に合わせているのだという気持ちで平準化をすればいいのである。車の運転でいうと、目の前の急発進急ブレーキやジグザク運転する車に合わせるのではなく、一台か二台前の車をみて安定して運転すれば良いのである。
●余裕をもった平準化
平準化をする場合、お客さんの納期に余裕がないと事前に生産ができない。車みたいに商品に魅力があってお客の方を待たすことができれば良いがそうはいかない。そのためには自分自身のつくるリードタイムを短くしてお客さんの要求リードタイムよりか余裕を持たなければならない。
リードタイムの改善にて、だいたい目標は1/10以下である。半分などではあまり変わらない。さらに、リードタイムを短くしたからといって、その成果をすべてお客さんへの即納サービスに使っては、平準化の効果を出すことができない。
リードタイム短縮した半分は工場の負荷の平準化に使ってピークを下げ、残り半分はお客さんにたいして「特急価格」として高く売ることに使うことである。つまり原価低減と売り上げアップを図るように活用していく。
このカラクリがリードタイム短縮=利益を上げるにもつながってくる。
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