2007年問題をぶっ飛ばせ  管楽器(サクソホン)

著者: エイム研究所 矢野 弘

「情熱が五感をひっぱり全てを研ぎ澄まさせる」

<先輩(38才で経歴20年)>

●この仕事を始めたきっかけと当時の教えてもらい方

小学校のころからヤマハ吹奏楽団に入ってサクソホンを吹いていました。好きでそのまま会社に入り仕事になりました。入社当時(20年前)は叩き上げて叱って、たまにほめるという状況でした。だから直接教えてもらうというより技を盗むとか背中を見て覚えるウエートが高かった。

 

●教えてもらってるという期間と任されたと思った時期

教えてもらってると思ったのは5~6年ごろまで、というより後輩が入るまで一番下でした。任されたと思ったのはここ10年ぐらいでで、先輩から先輩の仕事をやってみろといわれたときです。それまでごく一部の工程しか担当させてもらえなかったが全て組立てたとき「自分が子供のころに吹いていた楽器をつくったんだな」という感激があった。

始めは何も知らないで喜びだけでやっていたときと、すいも甘いもいろいろ経験した後では「良いものをつくりたい」という気持ちがより強くなった。

 

●腕を上げる方法は何ですか

プロの演奏者に来てもらって目の前で希望通りに仕上げるということやって、直接評価を受けた。厳しかったが良い評価を頂いた時はものすごくうれしかった。それと昔10時間怒られたことがある。朝8時からずっとである。昔の人の方が情熱的で熱い人が多かった。とにかく楽器や音楽が好きで、怒るときもほめる時もすごかった。

 

競合する他社が多く追いかける側で、ナンバーワンにならなければならないという風土が職場にはあった。それが情熱になり腕を上げる源になっていると思う。

今は何年もかけて技が発揮できるようになるのではなく、個人個人の秘密であった勘コツをどれだけ解明してみんなができるように、さらにレベルアップするかが勝負になっていくと思う。

トランペット

<後輩(31歳で前後工程を含めて経歴約10年)>

●この仕事を始めたきっかけと当時の教えてもらい方

私もヤマハ吹奏楽団に13歳から所属していたのと楽器が好きだったので会社に入った。つくるのに興味を抱いたのは入社して6~7年で、初めは吹くのとつくるのとでは気持ちは別々であった。見て覚えろともいわれた。私の入ったころは教え方の分岐点で手順書を見て説明してもらっていきなり製品をつくった。初めでつくった時は楽器の一部分であって、全てでなかったのでお客さんが希望するものができているのかなと思った。しかし、一部分でもできるようになったのはとてもうれしかった。


「好きで始めたが、今はそれ以上のものを感じていて幸せである。」

●教えてもらってるという期間と任されたなと感じた時期
8カ月ぐらいは教えてもらっていた。任されたなとはまだ感じていないが最近ちょっとするかな。今の職場は最後の組立工程です。今まで前工程を体験してきて、それぞれの職場で先生がいた。組立ては全ての部品の出来ばえに影響されるので「いいものをつくりたい」と思う気持ちを前工程に伝えることが自分の役割の一つだと思っている。前工程をやっていた時は後工程のことを考え、またその逆もある。同じ言葉で話すことで情熱的な人間関係ができる。うまく伝わったときはとてもうれしくてやめられない。この職場は自分が選ばれたというより望んで来たし良かった。

トランペット2

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