トヨタ生産方式を上手く導入出来る方法,発展出来る方法

著者: エイム研究所 矢野 弘

物と人とのコミュニケーションをよくしよう

●トヨタ生産方式を上手に導入するには
いろいろな生産方式がありますが、今となっては生産方式といえば誰しも「トヨタ生産方式」を思うでしょう。昔はトヨタ生産方式を取り入れる場合は製造部門だけの生産性の向上としての狙いが主で、真似から始まりました。

しかし、うまくいかずに諦めていく会社が多くあり、逆に悪くなるという悪評判もたちました。最近ではさすがに認知されて人材育成の方法も真似してトヨタ式として導入する企業も増え、いろいろな業種にも応用され始めるとトヨタ流として流行りだしました。

 

トヨタ生産方式を導入してうまくいっている企業には共通点があります。それは人と「もの」の係わり合いにおいての整理,整頓,清掃(3S)への取り組み方です。

仕事においても生活においても周りには「もの」があふれています。製造会社であると部品や製品、設備といった仕事でつかう「もの」があり、情報を扱う銀行やソフトメーカーにしても事務所は書類やコンピュータなど触るもの見る「もの」が多くある。特に不特定多数が利用する交通機関や道路は「もの」だらけである。

 

人はその「もの」を使ったり見たりして仕事をしている。そのためコミュニケーションは人と人だけではなく「もの」を通しての人と人とのコミュニケーションがしっかりしていないとムダが多く発生するし事故も発生する。

● 表現方法で変わる伝え易さ
例えば道路の信号機が色ではなく文字で書いてあるとしよう、すると近くに行かないと分からないし、読み間違えると事故につながる。漢字で書いてあると幼稚園では読めないし外国人にも分からず、周りの知っている人の様子を見ながらでないと交差点を渡れない事になる。

 

今のように色を使ったとしても赤が注意、白が進めと地域で色の使い方が異なると身動きが取れなくなる。色の配列が異なるだけでも戸惑うであろう。また、汚れてどれが光っているか分かりにくかったり、見えにくい場所に設置してあると、とても危険である。

交差点ではお互いが信号を見て信用して進んだり止まったりしているため、「もの」を通しての人と人のコミュニケーションはとても大切であることがわかる。「もの」が人と係わる事は普段の仕事に多くあり欠かせないものなので、必然的に目的やルールを決めて置くかなければならない。

 

●口でのコミュニケーション
とかく人と人とのコミュニケーションは主に言葉を用いる。使い易さからすると文字や図、ジェスチャーより手軽なので最も多く使う。しかし言葉は物理的に目で見て残らないので聞き手は覚えないといけない。人は覚えた事は忘れるし聞いた事は勘違いするので当然、言葉だけのコミュニケーションではミスやムダが発生しやすい。「口は禍わざわいの門」とはよくいったものである。

 

そのためコミュニケーションは人と人との直接な方法でなく目で見て存在する「物」と人とのコミュニケーションをしっかりしていくと人とコミュニケーションが良く取れてムダや事故の防止ができるようになる。言い換えればムダや危険が見えるようになる。

●基礎はやはり整理・整頓・清掃
仕事においては、いかに誰でも分かりやすくするかが仕事の上手な進め方となる。人間関係のみならず人・物関係を善くすることが品質を確保したり生産性を上げたり在庫を減らしたり、納期を守ったりの効果を生み出す。その基礎の手段が「もの」に対しての整理・整頓・清掃(3S)である。

 

3Sは当たり前の事でもあり、善くしていくための改善の手段でもあり、悪いところを見つける手段でもある。特に悪い事が見つかるとよくないように感じるかもしれないが、放置しておくと「もの」のみならず「者」も悪化して破滅(倒産)につながる事がある。

悪い事が見つかることは悪い事ではない。むしろ悪い事が速く見つかることは善い事であると思っている。そのためにも3Sを何時も進めたいものである。

 

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