地政学を経営に① 〔パート2〕 丸い地球から見た日本企業の課題

著者: エイム研究所 矢野 弘

●世界の変化
今後人口は20年間で70億人から100億人に増加していく。そのほとんどは発展途上国で抑制が効かない。人口増加にともない衣食住の経済的な需要が増加する。

その国の政府は他国の援助もかりて都市化をすすめる。バブル景気的な発展を都市化する地域のみ起きてしまう。ここ10年で中国では東京都の人口より多い1000万人以上の都市が10都市以上できてしまった。新たな都市建設では土木工事や建設機器が多く売れていく。この場合の機器は標準的な機器で数量が多く売れる。

 

すでに都市化した古い都市は新都市との競争のため再開発を行おうとする。新しく都市を創るのとは異なり、すでに住んでいたり操業している企業の立ち退きや、壊して新しい建物や道路を創るような手順のためスピードは遅い。

さらに「移転、破壊、構築」の3ステップを踏むため投資金額は2~3倍かかる。建設機器は標準的なものではなく、解体機器や解体した物のリサイクルなど、応用機が売れることになる。

企業の計画は、普通、短期が1~2年,中期が5年,長期が10年くらいです。これでは目先の景気や数字に振り回されてしまいます。改善活動を振り返ってて時間を数えると、あっと言う間に過ぎたと思います。

丸い地球をイメージして市場(環境)を見るには短期が5年,中期が20~30年,長期が100年くらいです。

 

これくらいの期間で見ると温暖化の傾向で永久凍土は溶けて植物が繁殖して動物も人も住める環境になる。さらに天然資源も凍土で覆われていたものが発掘できるようになるし、北極海も輸送で使えるルートになる。高いコストや政治的に停止のリスクがある国境を通るパイプラインは不要になる。

欧米と日本やアメリカの西海岸が近くになり、さらに紅海など通らないため紛争リスクもきわめてなくなる。保険料も安くなるため輸送コストは半分になる。
石油や天然ガスを輸送するための船の増産と、ベーリング海峡の中継港化(今のシンガポールのような役割)など開拓需要も旺盛になる。10年を長期と見るようなことでは、この考えは出てこない。30年、50年は何もしなくても必ず時間はやってくる。

1~3年の見方で同業者ばかり見て経営している人では直ぐに会社はだめになる。

 

 

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