物づくりの小話し、あれこれ 98話「いぐさ」の折れ

物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様)

98.「いぐさ」の折れ

 畳おもての「いぐさ」の葉は直径1.5mmと細い。
それでいて、背の高さは成長すると1.5mにもなるので、「ポキット」と折れてしまう。
昔は、それでも延ばしたり、繋いだり、それなりに使っていたが、その生産性は極めて悪かった。
しかし、昭和30年代に、「いぐさ」を真っすぐに育てる方法が開発された。
 植え付けして、そこそこの高さになったら、45cmに切り揃えるのである。これを先刈りという。
そして、先刈りした「いぐさ」の高さを合わせて、網を張りめぐらせる。
倒伏防止網である。
その後は「いぐさ」の成長に合わせて、網を少しづつ高くしていくのである。
 これによって、倒れたり、折れたりすることは舞くなった。更に、揃っていることから、自動で
刈取りすることもでき、飛躍的に生産性は上がった。
おもしろい工夫である。特に興味があるのは「いぐさを45cmに切り揃える」という部分である。
改善のステップでいうなら、“原単位合わせ”である。
 これをしておくと、次の改善が進めやすくなる。

 

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