設備の品質を上げよう(1/2)

著者: エイム研究所 矢野 弘

● ものづくりには基準が多くある

組み立てたり加工したりとそれぞれの工程には良品をつくるための標準がある。この標準から外れることを「異状」と言い、できたものを「不良」と言う。標準は単なるルールであるため、標準をつくったからといって良品ができるわけではない。

その標準を守るために設備には位置決めの「基準」を設けてある。製品はその基準を使ってものづくりをしていく。その基準がずれていたり、異物が挟まっていたり、磨耗していたりすると、不良が連続してできてしまう。さらにそのままにしておくと、製品が挟まったりして設備が故障し、生産すらできなくなる。

 

つくった製品の検査は生産ラインのどこかの工程で行う。設備の基準も狂っていないか点検したいが、たいてい見ていない。機械は正確で狂わないと思っている人が多い。もし不良が出始めると基準を動かして、良品になるようにごまかして生産している人もいる。大半の人はこれをする。

● 耳の痛い話

・NC工作機械で、汚れた油のまま加工し続けててガイドが磨耗して、へこんだまま加工していませんか
・機械のボールネジ(送りネジ)が磨耗してガタ(バックラッシ)を見込み、プログラムでごまかして加工し続けていませんか
・治具が磨耗してセロテープを貼って寸法を修正していませんか
・段取り替えのときに、どこかをハンマーで叩いていませんか
・樹脂成形で金型の合わせ面がへこんだまま、圧力を下げて調整したり、バリが出るのを覚悟で生産していませんか。(バリ取り手直しが標準工程になる)
・設備のカバーが外れたまま(止めるネジが1~2本しか付いてない)生産していませんか
・吸わないダクトのまま生産し続けて、床が汚れるのが当然と思っていませんか
・工程の周りに生産で使う以外の工具や備品がありませんか。それは修正の道具です

 

基準そのものをごまかして使っていると、何が正常か分からなくなる。
品質を一定に保とうとするには、基準の部分は元に戻す必要がある。さらに生産する前に基準が正常か観ることも大切。金型であれば異物が入っているとそのまま不良になる。ものをつくっている最中の基準は最も使われている部分なので、ダメになる方向に最も変化しようとしている。

 

「清掃で「いつもと違う?の異常」を見つけよう」

● 清掃とは元から比べての比較点検である
生産中に不良が出始めたり、設備が故障してからでは遅過ぎる。未然に防ぎたいものです。毎日使っていると、少しずつ磨耗して位置がずれてきたりと変化が必ずあるが、変化が少しずつなので見分けにくいのは確かです。
 そこで毎日の仕事の終わりや作業の終わりごとに清掃して、前回と異なる所を見つけてみる。不良が出ていなくても、故障もしていなくても、「いつもと違う!」を発見できると不良が出る前に予防できる。

 

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