物づくりの小話し、あれこれ 76~80

物づくりの小話し、あれこれ(著者 小林弘司様) 76~80

76.組立の工程編成とジグソウパズル

 組立の単位作業は、ちょうどジグソウパズルの5000ピース前後に相当する。
これを全部バラして、1ピースから並びかえるとすると大変な労力と期間が必要である。
だから、機能別に小グループに集約して、10ピース/1グループ程度にしておくと、500ピース
のジグソウパズルを仕上げる手間で済む。
そして、この10ピース/1グループは基本的には崩さない。小さな完結工程である。
1ピース単位だと、どの部分のどの位置へ、はまる単位作業かわからないが、10ピースになると、
特長的な図柄がでてくる。そうすると、そこにストリー性がでてきて、覚えやすい、仕事の固まりと
なる。

77.万年最下位

 完成車ランニング(不良車)=塗装タッチという時代があった。自販返車もかためて帰ってくる。
手直しで、残業につぐ残業、QCサークル活動すら開く余裕がなく、低調であった。
秋のブロック別運動会は、万年最下位。大げさに言えば暗黒時代である。
ひとつだけでも、光明を見いだし他課に勝たないと、どうも腹にすえ兼ねる。
次のことだけ、必死にやった。
一つは、電話ボックスのような、喫煙箱をやめて、何人かが座れミーティングできるエリヤの確保。
(いまでこそ、常識だが、当時は極めて少なく、ほとんどなかった)
二つ目はQCサークルの復活、最後は運動会3位以内入賞。
 その秋、運動会3位となった。また各組ミーティング室をなんとか持てるようになった。
QCサークルも活性、これらがきっかけで、他課と対等に勝負できるようになった。
 職場活性化の目的は1つでも、その手投はいくつもある。この程度のことが、好転する1つのきっ
かけになる。

78.ほめないのは、自己逃避

 他社を見学したり、研修会に参加したときに、概ね2つのタイプに別れる。
「たいしたことはない」「あの程度のことは、こちらでもやっているよ」「2つ、3つは、ましな
事例はあったけど、全体としてはレベルは高くない」といってしまう人。
 もう一人は、「たいしたものだ、新しい工夫が入っていた」「うちでもやっているんだが、やり
方が少しちがうんだよナ」「是非一度まねてトライしてみよう」という人。
これは、①全体をみているか、個々をみているか②見る人の経験、レベル、プライド③参加の動機
が自発的か受け身か。等々によっても違ってくるが、まずいえることは、
 前者の場合には、否定しているのだから、前進はない。しかも行動もない。
後者の場合は、今後に繋げようの姿勢がある。
見学したり、研修会等に参加して、収穫がないというのは、参加者の姿勢や意気込みが悪いだけと
思ってまちがいがない。
 他社でみるものが無いなんてことは、ありえない。そんな会社ならとっくに潰れている。
誉めないのは、自己逃避(業務逃避)しているだけだ。

79.売れたからつくる。売れるだろうからつくる。

 仕掛けは、順序か後補充かの2つである。その組合せがあるので、仕掛けは3タイプとなる。
後補充は、売れたから(確定情報により)つくるということになり、
順序は、売れるであろうから(予測情報により)つくるということになる。
 どちらが、より、ジャストインタイムか、はおのずと答えがでている。あとの補充方式がよい。
ただ、種類が多いと出店をもてないので、順序、もしくは順序+後補充の仕掛けとなる。

80.見かけの能率と真の能率

 10人いて、100個の製品をつくっていた。それを10人で120個の製品をつくれるよう
に改善した。たしかに能率は上がったが、必要数が100個なら見かけの能率であり、むしろ
20個余分にムダが出来たと考える。これを8人で100個つくるようになれば、真の能率向上
である。
 ある工程で、リードタイムを20分短縮し、スリム化したといっても、次工程のよその課で、
その分、停滞(在庫)が増えたとすると、これもスルーでみれば、改善されたとはいえない。
 これに似たことで、こんな例がある。工程間の仕掛かり部品が多いといって、改善している職
場のもう一方で、その比でない、部品をつけた完成車両を一杯もっているような、理にかなわぬ
状況をみることもある。
 ショップ間のタクト差なども含めて、上記の、見かけの能率と真の能率を本当によく見極める
ことが必要である。陥りやすい過ちである。

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